この記事では、日本では知られているようで全然知られていない湾岸諸国(GCC)の国について色々比較していきたいと思う。この知っているようでなんだか知らない国々の特徴を知ることで、実際に訪問してみたり、アラビア語を勉強するための参考にしてみたりしてほしい。
これから紹介する中で一番日本人が見慣れているのはドバイだろう。そんなドバイは、アブダビとともにUAE(アラブ首長国連邦)である。
特にこの記事では、1人当たりのGDPが物凄く高く、しかもアラブで孤立しているカタールなどに目をつけて欲しい。また存在感の薄いオマーンなどを知ることで、もっとこの周辺のエリアを好きになれること間違いなしである( ゚Д゚)/
それではいきましょうか。
①湾岸諸国(サウジアラビア以外)
中東と言えば、サウジアラビアを中心としたアラビア半島と、そこにイラン(上の地図ではKwait, Bahrain, Qatarの文字がある部分)やトルコ、アフリカ大陸にあるエジプトまで含むのだけれども、アラブと言えば、アラブ半島だけを意味する。
なので、人種的に南ヨーロッパに顔が近いイラン人(ペルシア人)はアラブ人と言われることを物凄く嫌う。
で、湾岸諸国(湾岸協力会議)と言えば、上の紫になっている6か国である。けれども、この記事ではサウジアラビアは割愛する。
というのもこの記事の目的は、サウジアラビアの子分のように、小さいけれども、裕福な国家を整理することにあるからだ。
②1人当たりのGDPは世界トップクラス
上の数字は1人当たりのGDPである。
カタールの1人当たりのGDPが物凄く高いのは有名な話。以下の写真をみれば、どれだけカタールの首都、ドーハが栄えているのかが分かるだろう。日本人の多くはドバイに見とれているけれども、ドーハ―もこんなに高層ビルありまくりなのだよぉ( ゚Д゚)//

で、参考として、この極(アラビア半島)での親分(ボス)であるサウジアラビアは、235万円。また同じアラビア半島に位置しながらも、湾岸諸国の仲間入りが果たせていないイエメンの1人当たりのGDPは、なんとたったの8万円。
List of countries by GDP (nominal) per capita
そして、イランアメリカ大使館人質事件(1979年)以来、アメリカと対立している中東でサウジアラビアに唯一対抗できる大国イランは、54万円。
日本人が、393万円、シンガポールが、640万円(東京とシンガポールは2019年時点で同じくらい)なので、以下に湾岸諸国の1人当たりのGDPが、日本人の平均に近いかが分かるだろう。
※ちなみに1人当たりのGDPが高い=国民の平均とは限らない。というのも、一部の富裕層が全体の多くを稼いでいることがあるからである。特にシンガポールね…。
「1人当たりのGDPは、東京と同格?シンガポールを崇拝する日本人は必見。知ってはいけないトリビア TOP10」
③孤立状態のカタール
この湾岸諸国の中で、唯一孤立状態にあるのがカタールである。その本当の理由は、カタールにトルコの軍事基地があるから。とも言われている。
つまり、今まではサウジアラビアが親分。その子分がこれら湾岸諸国の小国だったわけだけれども、現在カタールは、トルコとイランに支えられている状態になっている。
なぜなら、2017年カタール外交危機によって、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、バーレーンに断交されてしまったのだから。
ちなみにサウジアラビアの言いなりにならなかったのは、クウェートと、オマーンである。オマーンがカタール外しに加わらなかったのは、おそらくオマーン王室自体がこのエリアの中では比較的貧しいながらも、サウジアラビアの王家が誕生したあたりから、存在していることから、ライバル心があるのかもしれない…。
確かにオマーンは、過去にポルトガルや、オスマン帝国が攻めてきてもすべて追い払った中東の中では珍しく勇敢な国である。また日本とも関りも深い。
「オマーン国の「タイムール国王」と「大山清子」の間にできた「ブサイナ王女」と、オマーンの歴史」
④輸出・輸入の比較(湾岸諸国)
以下に書いていく輸出国、輸入国は、2018年の数字である。
クウェートのお得意様は韓国と中国。また中国やアメリカから多くのものを輸入している。サウジアラビアとの関係も深い。
また以下にも日本が多く出てくるが、以下に日本が湾岸諸国と経済的に結びつきが強いかが分かるだろう。
以前書いた、バルト三国や中央アジアの輸出・輸入の欄には日本はほとんど出てこないのとは対照的だ。
「バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の言語・経済・文化・物価・金髪率・身長などを比較 TOP10」
「中央アジア(キルギス、カザフ、ウズベク、タジキ、トルクメニ)の言語・経済・文化・物価・人種などを比較 TOP10」
バーレーンは、湾岸諸国の中で唯一サウジアラビアと絶対に切っても切れない関係と言われている。特にサウジでは酒が飲めないので、サウジの王室関係者が酒を飲みにキング・ファハド・コーズウェイという橋を渡ってわざわざやってくるのだとか。( ゚Д゚)
カタールの輸出先の20%は日本。以前は25%ほどもあった。2015年時点で、日本にとって第4位の主要石油供給国である。つまりカタールにとっては、一番のお得意様。
アラブ首長国連邦は、湾岸諸国の中で唯一イランに輸出している国かもしれない。サウジアラビアの宿敵であるイランと関わっているという点がまた面白い。イランが今後スムーズに発展した場合、サウジとイランを繋ぐ中継地点になる可能性がかなり強い。
オマーンは湾岸諸国の中で一番中国依存が強いようにも思える。なんでも、2019年の情報によると、オマーンのドゥクム港では中国企業による開発が進み、今後10年で、第二のドバイといわれるくらいの街ができるとも言われている。
内容は以下にまとめた。
⑤湾岸諸国は、現地人よりもインド人のほうが多い
279 migrant Indian workers died in Qatar in 2014: Amnesty
カタールの人口は、264万人(2017年)その内訳はざっくり書くと、カタール人(11.6%)、非カタール人(88.4%)となっている。
で、特に多いのが、インド人(64万人)、ネパール人(35万人)である。これらは、カタール人(31万人)よりも多く、実質上、カタール=インドの飛び地。というふうにも受け取れる…。
上の写真は建築業者として働くインド人。なんと、2014年の1年間で279人のインド人が過酷な労働で命を落としている。一方、イスラム教国家であるカタールは、何か厳格なイメージがあるが、インドの有名なヒンズー教のお祭りでもあるホーリー祭を楽しんでいるインド人もいる。
www.priyadsouza.com/population-of-qatar-by-nationality-in-2017/
また、UAE(アラブ首長国連邦)でも、多数派の外国人はインド人である。959万人(2017年)の人口のうち、280万人ものひとたちがインド人なのである。
Indians in the United Arab Emirates
それに対して、UAEの国籍を持っている人たちは、108万人(2015年)に過ぎない。じゃ、ドバイとかアブダビも実質上は、インド人ばっかりの場所じゃん!
ということになる。こんな不思議な国ある?日本では、特定の民族が増えると、国がおかしくなるという人もいるが、カタールやUAEでは、むしろ犯罪なども全然起こっていないようだ…。
また、クウェートも、人口462万人(2018年)に対して、70万人のインド人、バーレーンも、142万人(2016年)の人口に対して、インド人は40万人。と、インド人率が高すぎる。オマーンが一番少ないだろうか。それでも、442万人(2016年)に対して、66万人のインド人が住んでいる。つまり、湾岸諸国の人口=2269万人のうち、インド人人口の合計は、520万人にも達する・・・。しかも、2269万人のうち、その多くは外国人労働者なので、湾岸諸国で一番多い人口はインド人かもしれない。
つまり、湾岸諸国=アラブ人というよりは、第二のインドと考えたほうがいいのかもしれない。という意味で、私は以前、ヒンディー語の学習を進めたことがある。
「南アジアの言語(ヒンディー語・ウルドゥー語、タミル語、ベンガル語)を勉強するメリット、需要、重要性」
⑥都市圏人口ランキング
都市圏人口のランキングは、2017年、2018年の数字である。ドバイは湾岸諸国の中で一番の大都会だが、その分面積も広い。またドバイの隣にあるシャルジャという都市も人口が増加していているので、今後もっと巨大になっていく可能性はある。
ちなみに上のランキングには、アラブ首長国連邦を代表してドバイを入れたが、アラブ首長国連邦にはもう一つ代表的な都市がある。そのアブダビ市は、人口(120万人)、面積(972 km2)となっている。
クウェート・シティはイメージとして横浜市と同じくらい。都市圏人口を合わせても、
上の写真は、砂漠から横浜市くらいの都市に発展したクウェート。
また参考としてサウジアラビアの首都リヤドは、767万人(1,913 km2)とはいっても、日本人がサウジアラビアを観光するのは難しいのであまりリヤドは意識しなくてもいいかもしれない。( ´艸`)
おそらく人口密度的に、この中で一番都会なのは、ドーハ―だろう。またドバイも都会ではあるが、高層ビルが多いので大都会に見えるだけで、人口的な意味で言うと、以下にも書いたように、日本の福岡と同等くらい。
「首都圏(東京)と比べた結果、香港やシンガポール、ドバイがド田舎過ぎてワロタ。ライバルは横浜や名古屋?」
⑦共通の言語はアラビア語ではなく英語?
湾岸諸国の国々は、サウジアラビアも含めすべての国でアラビア語を公用語としている。けれどもこれらのエリアは、アラブ人が少なく、出稼ぎ労働者(南アジアなどから)の人口のほうが多いため、英語が多く使われているというのが実情である。
とはいっても、アラブ人同士では、アラビア語湾岸方言を使っているので、オマーンを除けば、アラビア語でアラブ人と交流したい場合、アラビア語湾岸方言を学ぶべきと言える。
けれども、アラビア語は、北アフリカ、中東合わせておよそ3億人ほどの間で使用されている言語だけれども、上の地図のようにいくつもの方言があるので、通常アラビア語を勉強したい人は、これらすべての国々のニュース、雑誌、教育などで使われているフスハー(標準アラビア語)を学んでいる。
とはいっても、日本人がよく行く、アラブ首長国連邦やカタールは、むしろ英語のほうが通じるので、わざわざアラビア語を勉強する必要はないだろう。
⑧湾岸諸国で物価が一番高いのはどこ
こちらのブログでは、カタールの物価に関してこんなことが書かれていた。
カレーが1食270円で食べられるのに、スタバの220m瓶が780円。
ミネラルウオーターが480円から30円まであるって…どういう事?
ちなみにこのスタバの220m瓶というのはフラペチーノのことで、一般の国では280m瓶で、300円くらいだという。つまり、カタールでは、通常の価格の二倍はするということ。(参照)
とはいっても、カタールにも出稼ぎ労働者が多いので、驚くほど安いインド料理屋さん(衛生面大丈夫)などもあり、価格の二極化が進んでいるという指摘もある。
で、こちらのブログでは、オマーンのスーパーで物価を検証していた。お菓子やジュースなどがかなり安い印象があった。例えば、500mlのペットボトルコーラー60円ほど。というのは、オマーンの1人当たりのGDPと照らし合わせても納得のいく価格のようにも思える。とはいっても、バーガーと、コーラーを注文して、2000円。という文言も見つけた…。
つまり、1人当たりのGDPが一番高いカタールと、低いオマーンを比較してみても、ものによって差はかなりあるように思える。
⑨湾岸諸国は日本人よりも、韓国人を優遇!?
日本人が湾岸諸国の国々に行く場合、ビザなしで行ける国と、ビザを取らなければいけない国に分かれる。
以下情報(2019年時点)
クウェート
在日クウェート国大使館によると場合、ネット上からe-Visaを申請することで、3ヶ月間滞在できる。Kuwait e-Visa のサイトをクリックしてビザを取得しよう。
バーレーン
バーレーンの場合、観光ビザ(現地空港で支払)で、2週間のみ有効。ビザ代は1500円ほど。(中東に詳しいサイトからの情報)
https://seiwanishida.com/archives/7502
カタール
カタールはビザ免除。1ヶ月間有効。(ちなみにドイツ、イタリア、スウェーデンなどは6ヶ月もいれるんだって…)
アラブ首長国連邦
アラブ首長国連邦(ドバイなど)も、ビザ取得なしで30日滞在可能だが、なぜか韓国人の場合は90日滞在可能。→シンガポールも、タイも、なぜか韓国人の方が二ヶ月も長い…。なぜ!?
オマーン
オマーンは高い。上記バーレーンでも書いたサイトによると、10日有効で5リヤル(約1400円)30日間有効の20リヤルの観光ビザ(約5,700円)なのだとか。ちなみにオマーンは99%行くことのない国!として有名なのだとかね…。
https://seiwanishida.com/archives/6617
⑩アラブ人とインド人の見分け方
https://www.pinterest.com/pin/847661961094330276/
まず、アラブ人は、顔に関係なく、女性ならニカブ、またはアバヤ(黒い頭から下まで全部覆うもの)、男性ならカンドゥーラ、 ガラベイヤなどをまとっているので、すぐにイスラム教徒だということがわかる。上のイケメン男性は、アラブで一番のイケメンとも言われているドバイの王子。
こんなイケメンがたくさんいるという訳ではない。実際にサウジアラビアを含めた湾岸諸国の平均顔がこれ。
黒人に白人が混ざったような感じにも見えるが、アラブ人を始め、中東に住む多くの人は、ラテンアメリカ(南米に住む現地人と白人の混血)などにも似ていて紛らわしいことがある。
でも、上の写真より、実はこっちのほうがもっと湾岸諸国の平均顔に近いと、揶揄されていた…( ゚Д゚)//→と、おもってもっとよく見てみたら、サウジのサッカーチームの平均顔だそうだ( ´艸`)
難しいのはインド人。そもそもパキスタンもバングラデシュもインドであった。ということを考えれば、湾岸諸国に沢山いるパキスタン人やバングラデシュ人も人種的にインド人と言うことができるが、ポイントは、インド北部の人たちは、イランに近いので、イランよりの顔をしている人も多く、インド南部は、骨の形は違うが、アフリカの黒人くらい肌が黒いということだろうか。
以下でも書いたけれども、
「インド人が白人のような顔をしている理由と、インド北東部に日本人のような民族がいる理由」
インドでは北部と南部でこのくらいの違いはある。(この写真は物凄く極端に比較した場合)
けど、湾岸諸国で出稼ぎをするインド人には、南部系の人たちが多いような気もする。これは、日本人からすると、かなり見分けるのは大変かもしれない( ゚Д゚)
一方、以下を見ても分かるように、やはりイラン人の平均顔は、南欧のギリシャにも近い顔立ち。
いずれにしても、湾岸諸国にずっと住んでいると自然と見分けられるようになるのかもしれないね(^_-)-☆
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