カナダは北欧?隣国アメリカとの違いと、移民を受け入れる理由




イギリスのBrexit(ブレグジット)、パリで2015年に起こったイスラム過激派テロリストによるシャルリー・エブド襲撃事件、メキシコに壁を建設しようとするアメリカ。シリア難民が押し寄せ、移民について寛容だったドイツも最近は考え直し始めてきている。

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西洋ではこのように移民を排除しようとする動きがあるわけだけれども、移民を歓迎している国もある。それがカナダだ。

英語圏でも、カナダはなぜ移民を歓迎するのか。と言われているくらい。私もこれはあまり知らなかったので記事にしようと思った。

さて、西洋では外国人に寛容でもありながら、ゼノフォビア(外国人嫌い)も多く、その多くが、イスラモフォビア(イスラム恐怖症)、シノフォビア(中国人嫌い)、ルッソフォビア(ロシア人嫌い)などに分類されると言われている。

その中でも911のテロや、その後における中東の混乱、ISIL(イスラム国)問題など、イスラム教徒のイメージは悪い。

また経済的にリッチになった中国人がいろんな国に移住し始め、それも問題になっている。

このようにやはり最近は、移民をあまり増やさないようにしようというのが各国の考え方に近いのだと思う。

さて、この記事ではそんなカナダはなぜ移民を受け入れるのにそれほど抵抗がないのか。また公用語も人種もかなり似通っている隣国アメリカとの、意外に知られていない違いはなんなのか?を探っていきたいと思う。



①白人は、カナダのほうが少ない

まず。人種の話から。アメリカとカナダは同じ多民族国家でも、人種の割合はかなり違っているのが面白いところ。それを示す表を用意したので、比較してみよう。

カナダとアメリカの人種の割合は、このように違う。

20152050
白人77.40%70.80%
非ヒスパニック系白人61.80%46.60%
黒人13.20%14.40%
アジア系5.30%7.70%
他民族2.60%5.40%
ヒスパニック系・ラティーノ17.80%28.00%

アメリカの白人率(ヨーロッパ系と中南米系)は77%と思ったよりもかなり多い。これがニューヨークのような大都市だと黒人が23%ほどいる。大都市には多くの人種が混在するが、やはりアメリカはまだ白人の国だ。

つまりカナダよりも国民全体における白人率は高いと言える。

とはいっても、この77%という数字は、アメリカを建国したヨーロッパ系とスペイン人が中南米を植民地にしてメキシコ人となり、アメリカに渡った白人(ヒスパニック系)の合計。なので、ヒスパニック系を除くと61%になる。

更に面白いのは、2050年には、このヒスパニック系を除いた純粋な白人が46%にまで減ると予想され、2050年のアメリカは、白人が少数派に転ずると言われている。

というのも、白人以外の人種の出生率がアメリカでは高いからだ。次にカナダを見ていこう。

グループ
2016年
合計割合
ヴィジブル・マイノリティ7,674,58022.30%
南アジア1,924,6355.50%
中国1,577,0604.50%
黒人1,198,5403.40%
フィリピン780,1252.20%
ラテンアメリカ447,3251.30%
アラブ523,2351.50%
東南アジア313,2600.90%
西アジア264,3050.80%
韓国188,7100.50%
日本92,9200.30%
ヴィジブル・マイノリティ132,0900.40%
少数派(民族性不明)232,3750.70%
非ヴィジブル・マイノリティ26,785,48077.70%
原住民1,673,7854.80%
白人25,111,69572.90%

2016年における国籍の割合。この表では中国やフィリピンのような国名もあれば東南アジアのような集合体もあるので、特にややこしいアジアの部分だけを合計してみた。

すると、カナダのアジア人率(中東やインドも含むアジア)は、16.2%であることが分かった。これは、アメリカよりも多い。

またメキシコやカリブ海に国境を接していないことからも、ヒスパニック系(ラテンアメリカ人)の割合が非常に少ない。黒人の割合もグンと下がる。

ちなみに、ヴィジブル・マイノリティとはカナダで使われる用語で、本来そこに住んでいた原住民と白人。という考え方で、それ以外は非ヴィジブル・マイノリティとなる。



②国民健康保険が違う

カナダの医療制度は、メディケア(国民皆保険制度)というものを採用している。カナダ国民であれば皆保険に加入することができる。日本の健康保険(または、国民健康保険)と同じようなものである。

日本でしか生活をしたことがない人にとってはこれはごく当たり前のことのように思えるが、まず、カナダはメディケアがありながらも、日本のように歯医者には適用できない。

なので歯医者の治療となると自分で保険に加入する必要があるとのこと。また歯科治療自体も高く、極端な例として、1本の虫歯を治療するのに40万円かかったというカナダ在住のブログも発見。

デンタル保険などに加入すれば、全体の20%しか払わなくてよく、保険適用でも日本よりも1.5倍高いくらいという話もある。

さて、問題はアメリカなのだ。

アメリカにもカナダと同じように、メディケアと、メディケイドと呼ばれる公的医療保険制度があるが、アメリカのメディケアは、65歳以上の高齢者や、身体障がいを持つ人に限られ、メディケイドは、低所得者を対象にしているため、皆保険ではない。

2016年時点で、アメリカ国民の8.8%にあたる2810万人が、保険未加入だという。この意味で言えば、医療制度においてカナダはアメリカよりも北欧的な社会民主主義な部分があるとされている。

つまり、北欧にカナダも追加してしまっていいのでは?と考えるとちょっと面白いかもね(';')/


③教育システム

まずカナダはアメリカと違って、公教育のレベルは相対的に悪くはない。一方でアメリカでは教育を受けていない人と受けている人のどちらも存在する。

もっと分かりやすく言うと、自分に子供がいたとして、あの家の子とは遊ばないようにしてね。と言う回数が減るのがカナダなのだ。

※ハリウッドの影響でよく登場するロサンゼルスも、実際はこんな感じでホームレスが多い都市になってしまった。

「閲覧注意!!これがロサンゼルスの現実。ホームレスと売春婦、そして警察だらけ?日本では絶対に見られない光景!【海外の反応】」

また、アメリカの場合、英語は話せるけど字が書けないという人も多く存在すると言われている。それは幼児期にきちんとした教育を受けなかったからであり、National Master というサイトでは、識字率の高い成人は、アメリカ(19%)とカナダ(25.1%)で、かなり差があることが分かった。

ちなみに、アメリカには、大学に入る前にSAT(大学進学適性試験)があるのに対して、カナダの場合はない。

またアメリカにおけるcollege(2年生)の進学率は、40%でそこに4年生の大学も加えると60%になる。アメリカでは、アジア系のアメリカ人が一番大学に入る割合が多いのも特徴的。

で、カナダでは、上記のように二つ合わせた概念の高等教育で53%だという。つまりアメリカのほうが短大・4年制大学合わせた合計の意味で大学進学率は高いということになりそう。とはいっても、数字的にほぼほぼ変わらないのかもしれない。


④その他、アメリカとカナダの違い



HDI(人間開発指数)はカナダのほうがわずかに高い。またカナダは銃規制がしっかりしている一方アメリカは違う。

もう一つは、犯罪率。例えば、2018年のデータで犯罪インデックスをみてみると、日本が13.10だとすれば、カナダ(39.28)、アメリカ(49.58)となる。

日本は異常に犯罪率が低いので13という数字はあまり参考にならないかもしれない。韓国(35.83)でさえかなり安全な国と言われているので、カナダはその感覚に近く、アメリカはそれを超えるという風に考えればいいかもしれない。

ちなみに英語圏のサイトには、アメリカとカナダの弁護士数を比較して、アメリカのほうが多いという意見もあったが、割合的にはほぼ同じだった。

またカナダのパスポートはアメリカ人が行けないキューバなどにも行けるので、アメリカよりも強いという話もあったが、総合的な強さではアメリカのパスポートのほうが強いようだ。(Passport Index


⑤カナダ人が移民に寛容な理由

ここ最近、移民に寛容だったスウェーデンではイスラム教徒による性的暴行が起きていたり、ドイツでもシリア難民などが数百万単位で押し寄せた後、日本のように移民・難民に対して考え直す空気が出てきた。

「日本人を尊敬します。俺らスウェーデン人が、移民問題(イスラム化)に関して日本に倣わなければならない理由【海外の反応】」

メキシコとの国境に壁を建設するで当選したトランプ大統領も、この時代の移民に対する考えが変わっていることを表している。

オーストラリアもまたアジア系の移民が増えたり、タスマニア島などの議会選挙に中国系移民が立候補したことなどに危機感を募った現地民が立ち上がるなど、移民に反対という流れになってきている。

そんな中、唯一カナダだけが移民に積極的なのが面白い。なぜカナダでは移民を歓迎しているのか。と考えたとき、イスラモフォビアでも知られる西洋の国々の中でも、フランスやドイツ、イギリスのようにイスラム教徒による攻撃がなかったからではないか。

と私は考えた。

カナダではヨーロッパで起きた事件とは逆に2017年01月29日、ケベックシティのモスクでイスラム教徒6人が死亡するという事件が起きた。

この事件はカナダに住むイスラム教徒への嫌がらせ的な事件である。

その数年前には、2014年カナダ議会銃乱射事件というのが起きたがこの事件では、容疑者を含む2名が命を落としている。この容疑者に関しては、ケベック州出身で、イスラム教に改宗したカナダ人のマイケル・ゼハフビボー(Michael Zehaf-Bibeau)であるとされているが真相が明らかになっていなく、またあやふやになっている。

なので、イスラム教徒がカナダで起こした事件ってないのでは?と思っていたのだ。

で色々調べてみると、イスラム系によって起こされた事件として確実なのは、2017年9月30日に起きた、ISIL(イスラム国)に同調するソマリア系難民の男によって引き起こされた事件。

この事件では、アルバータ州エドモントン市内にあるフットボールスタジアムで、試合の警戒に従事していた警察官を車両で跳ねた後に、ナイフで数カ所刺して負傷させたもの。

ホントにこれくらいしかないのだ。またカナダでは、イスラム教はたったの3.2%しかないのに対して、イスラモフォビアの多いフランスでは、6.6%と二倍近くになっている。

なので、多くのカナダ人はイスラム系移民・難民をそれほど危ないと思っていないのかもしれない。ということは、イスラム系の殺人が起きれば、カナダの世論は一気に移民反対に変わっていくのではないかと私は思っている。



⑥カナダ人の本音

他の西洋の国々に比べカナダは移民に寛容と言われつつも、実際はカナダ人はこう思っていることが分かった。

Forum Research による世論調査によると、回答者の70%が移民を制限するべきだと答えており、回答者の60%がカナダにやってくる移民は自分たちの文化的価値を捨てカナダ人的な文化に同化するべきだ。と答えている。

例えば、イスラム教徒の女性がカナダにやってきた場合は、イスラムの伝統よりも、カナダでは当たり前のジェンダーの平等に馴染めるか?ということだ。

フランスでも、ニカブを着ながら海水浴場に現れるイスラム教徒の女性がたくさんいたことが問題になったが、その国に来るなら、宗教的な価値観よりもその国の価値観にまず合わせろということだろう。

また、60%の回答者が、移民が二重国籍を保持することを許可されるべきであると考えている。ここは寛容なので、意外だった。

労働者に関しては、熟練労働者や高度技術職を中心に歓迎しているが、カナダという英語も通じ、民主主義で人権が守られている国ではあるものの、寒冷地であることがマイナスとなり、スキルを持った人材が不足しているという。

そこに最近大量にやってきているのがインド人だという。アメリカの隣国であり、アメリカとは同じリベラルな国でありながらも政治的なスタンスの違うカナダは同じく英語を操る教育を受けたインド人にとっては最高の場所なのかもね…。

インド人って、中国人のようにいろんなところに散らばって成功している人も多いしね…。

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大まかに言うと、カナダでは移民を歓迎はするけれども、より現実的に考えている人が多いという事なのかもしれない。

⑦最後に

アメリカとカナダの比較をしていると、ものすごくポイントが高いのがやはり国民皆保険だった。皆に保険を適用するというのは、アメリカのような資本主義が強く、教育も仕事を得るのも自己責任という考え方とは少し違い、誰もが平等であろうという空気を感じる。それは、北欧のような感覚に近いのではないだろうか。

アメリカとカナダは隣国同士で同じ北アメリカとして同居しているわけだけれども、アメリカとカナダの違いを調べていて、私は今後はカナダを北欧に入れようかしら。と考えるようになった。

とはいっても、アメリカとカナダは同じ英語で人種も同じ白人なので、日本と韓国のような距離感よりも更に近いことは言うまでもないのだけどね…。

最後に、カナダはアメリカが移民政策で失敗しているけれども、カナダはうまくやっているという優秀さをアピールしたいのではないか。とも思えてきた。

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