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英語の発音には5種類ある。一般アメリカ語、容認発音、カナダ英語、オーストラリア英語、インド英語

2014年12月13日

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英語の発音には5種類ある。一般アメリカ語、容認発音、カナダ英語、オーストラリア英語、インド英語

2014年12月13日


この記事では英語の種類を大きく分けて5つに分けてみたいと思う。とは言っても、いわゆるアメリカ英語イギリス英語がその大部分を占めるが、インドの人口、そして経済発展のスピードとともにインド英語も無視できない存在となっていることも忘れてはならないだろう。

また、英語圏の間では、カナダ英語とオーストラリア英語、特にオーストラリア英語はかなり違う英語に聞こえることがあるので、この辺のことについても掘り下げてみたいと思う。

さて、始めよう。

①一般アメリカ英語

削除されている【2020/12/14】

いわゆる多くの人が読んでいるアメリカ英語というのは、正式には一般アメリカ英語General American)という。

日本語では一般アメリカ英語という言葉は聞いたことはないかもしれないけれども、英語の記事を読むと、General American という言い方は結構登場する。ウィキペディアのページにももちろん載っている。

また、General American も、日本語では、「一般米語」、「一般アメリカ英語」、「標準アメリカ英語」と色々な和訳をされることがあるので、単に General American と覚えておけばいいだろう。

英語のニュースをユーチューブやポッドキャストで聴く人も多いと思うけれども、まさにアメリカのニュースは、一般アメリカ英語である。

Fox News
CNN News
PBS NewsHour
NBC New
CBS news 

など、日本人の多くが英語のリスニングに使っているニュース動画も、いわゆる一般アメリカ語なのである。つまりNHKの人たちが話すような、東京弁でも関西弁でもない標準語という位置づけになり、アメリカ人皆がこのような、一般アメリカ語を話すわけではない。

というのも、アメリカも地区によって発音や話し方が変わるからだ。(発音は変わっても、イントネーションはほとんど変わらない)

一般アメリカ語の特徴としては、

・容認発音とは違い、リエイゾンで単語と単語を繋げるように話す
・容認発音とは違い、Rの音が強い(イギリス英語のRとは若干違う)
・容認発音と母音が違ったりする場合がある。特に apple [ˈæpl] の場合、アメリカ英語では伸ばしながら発音。容認発音の場合は伸ばさない。

IPA(国際音声記号=発音記号)を学ぶと、この一般アメリカ語と容認発音の違いは明らかに分かる。

「国際音声記号 (IPA) を覚えると、英語やフランス語、どんな言語の発音も簡単になる理由」

また上にレディ・ガガの映像を載せた理由は、一般アメリカ語とは少し脱線するけれども、彼女の英語が、他のアメリカ人のアーティストに比べ、非常に理解しやすい話し方をするからだ。

つまり、英語の発音的な部分で見ると、レディ・ガガの場合は、世界中に自分のファンがいることを知っているため、彼女自身話し方をネイティブモードというよりは、海外モードに変えている感があるということだ。

①話す速度
②Enunciation / Articulation(一つ一つの単語の明瞭さ)
③簡潔にまとめた話の内容

つまり、レディ・ガガの場合、一般アメリカ語の発音でありながらも、グローバル・イングリッシュで話している感じである。

一方、ブリトニーちゃんは、当時の若い映像だということもあるけれども、まるで日本の若い女の子が早口で話すような、いわゆるネイティブバージョンである。

この二人はどちらとも一般アメリカ語だけれども、私が強調したいのは、発音やイントネーションが一般アメリカ語というだけ。

「プロソディ / 発音 / アクセント / イントネーション (抑揚) / ピッチ。これらの意味の違いと役割」

もう一つ知っておくべきことは、一般アメリカ語、いわゆる American Accent(アメリカン・アクセント)とは、

西海岸(カリフォルニア)や、東海岸(ニューヨーク)、そしてアメリカ南部ではそれぞれ発音の仕方が異なるものの、イントネーションはほとんど変わらないという点だ。

「多言語を勉強して気づいた、英語の発音で最も厄介な æ / ɑ / ʌ / ə の違いと、ä / ɐ / ɒ の意味」

 

②容認発音

削除されている【2020/12/14】

容認発音(Received Pronunciation)は、クイーンズ・イングリッシュとも言われる英語で、多くの人が憧れる英語の発音であるとされている。英語圏では、RP と省略されることが多い。

・王族
・BBCなどの公共放送
・イングランド南部の教養のある階層

というように、イギリスでは正しい発音とされているもの。けれどもイギリス人全員がこのような話し方をするわけではなく、現在のイギリスには、アメリカ英語のような発音になる人もいたりする。

もう一つ注目する点は、最近は、RPではなく、Estuary English(河口域英語)が、イギリスで一般的に話されている英語の発音とされている。このことを知っている日本人は意外と少ないかもしれない。

そもそもイギリスには、PRのほかに、コックニーというロンドンの労働者階級で話される英語があり、いわゆる下町らしさが漂った言語であり、少々「俗っぽい」印象があるのに対して、RPは上流階級らしさが顕著な言語であり、若干「お高くとまった」印象があるので、その中間に位置する河口域英語が標準化したのも、わからないでもない。

さて、RPの特徴としては、

・一般アメリカ語と違い、Car などの最後のRの音を強く発音しない
・日本語のように、単語を区切ることが多い
・一般アメリカ語とは発音が違うものも多い

など、明らかに一般アメリカ語とは違う。けれども、イントネーションにおいては、一般アメリカ語も容認発音も、全く違うという分けではないのもポイント。

というのも、一般アメリカ語も容認発音も、ストレス・タイミングであり、明らかに、シラブル・タイミングに分類されるフランス語、スペイン語、中国語、韓国語、インドネシア語などとはリズム感が違うからである。

上の動画は、闇の権力者とも揶揄されるエリザベス女王の容認発音であるが、元イギリス首相のデーヴィッド・キャメロン(2010年5月11日 - 2016年7月13日)も綺麗な容認発音で英語を話している。以下、その動画である。

David Cameron on Ali Mohammed al-Nimr and Saudi Arabia

ちなみに、大英帝国のときの植民地だった、南アフリカ、インド、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、カナダなどはこの RP を話す人たちの割合も多くなる。

これらの国では英語教育として一般アメリカ語よりも、容認発音に近いイギリス英語を学ぶ傾向があるからだ。

一方、カナダはイギリスの植民地であったし、今でもイギリス連邦で君主がエリザベス女王だけれども、容認発音よりも、一般アメリカ語に近い発音であると言われている。

現在の一般アメリカ語が、実際のイギリスの発音に近かった?

もう一つトリビアとしてお伝えしたいことがある。それは、実は、容認発音はわりと最近できた新しい発音だと言われていることだ。

簡単に歴史をまとめると、現在アメリカで話されている一般アメリカ語が、昔から英国で話されている本当の英語の発音に近いと言われている。


つまり、現在の一般アメリカ語が、実は一昔前のイギリス人が話す英語の発音に近かったということなのだ。信じられない話かもしれないけれど、容認発音というのはそれほど歴史が古くないと言われている。


これは言語学者ではない限り、一般のアメリカ人でもあまり知らない話なのだけれど、
イギリスによるアメリカ大陸の植民地化によって、イギリス人が移住してきた時に使っていた英語が、現在の一般アメリカ語に近かったと言われており、イギリスで現在話されている容認発音は、その後、英国の上流階級の人たちが英語をファッショナブル・またはクリアな発音に変化させたものだと言われている。

私はこの事実を韓国に留学していた時に知り合った年配のアメリカ人(二人とも英語教師)に話したことがあるのだけれども、両者とも正しいと言ってくれ、しかも、なぜ、知っているの?とまで言われた。

 

③オーストラリア英語

オーストラリアの英語はこんな感じ。ジュリア・ギラード(2010年~2013年)の英語を聞いてみると、イギリス英語ともアメリカ英語ともちょっと違うクセのある英語だということが分かる。

まず、容認発音と共通しているところは、一般アメリカ語のように、Car のような、語の最後に来るRの発音をせずに伸ばすような感じになっている。

特に、オーストラリア英語の発音において、一般アメリカ語とも容認発音とも違う部分は、

・face [fs]→ [fæɪs]
・today [təˈd]→ [təˈdæɪ]

など、エイという二重母音の箇所が、アイのような音になるということである。アメリカ人いわく、このオーストラリア英語は可愛く聞こえるようで、アメリカではこのアクセントがモテるのだとか…。

Reference Site
https://en.wikipedia.org/wiki/Australian_English#Pronunciation

 

④カナダ英語

次はカナダ英語。この映像では、アメリカ版のコギャル2人組が、アメリカ英語とカナダ英語の発音の違いをやっている。

この動画を観察していると、bag [bæɡ] などのアの音が、カナダ英語ではエに聞こえるという不思議な現象を発見。

またカナダ英語といのは一般的にイギリス英語とアメリカ英語のハーフのようなものだと言われている。私も以前、ワーホリでトロントに滞在していたけれども、アメリカ英語のように話す人も結構多かったし、オーストラリア英語ほど、アメリカ人からしても、特異な発音には聞こえないようだ。

むしろカナダ英語は綺麗と言われることのほうが多い。

⑤インド英語

インド英語とは、ヒングリッシュと呼ばれることも多い。シンガポール英語がシングリッシュと呼ばれているのと同じである。

インドの公用語は英語にはなっているが、権威的な言語はヒンディー語であり、このヒングリッシュはそのヒンディー語のアクセントの上に成り立っているようなものである。

こちらは India Today のニュース。発音としては容認発音に近い。やはりイギリスに植民地支配されていただけある。実際ヒンディー語も、日本語のようにカタカナっぽい発音なので、そういう母国語の影響も少なからずあるのだろう。

⑥日本人はどこを目指すべきか?

私がいつもメンティーさん(生徒さん)に言っているのは、一般アメリカ語の発音を覚えることである。つまり、発音に関しては、General American で統一したほうが良いと思うのだ。

けれども残念なことに、日本人の多くは、アメリカ英語の発音と、イギリス英語の発音を混在させて話しているのが現状。そうした場合、難しい話をするときに、相手がこんがらがってしまう危険性もある。なので、統一したほうがいいのだ。

アメリカ英語の発音ができると、イギリス英語の発音は楽になるのは言うまでもない。特に、Rの発音は、他の主要言語にはないアメリカ独自の発音であり、Rの発音を習得するのも重要である。またアメリカ英語のように、リエイゾンで繋がった英語を聴いた後にイギリス英語を聴くと、簡単に聞こえたりもする。

つまり、イギリス英語である容認発音で話す場合は、"crisp" クリスプ→1つ1つの単語を少し区切るような発音なため、日本人には発音しやすい。

逆にイギリス英語である容認発音に慣れてしまうと、アメリカ英語が聞き取りにくくなる可能性すらある。

けれども、これは完全の好みであり、容認発音に拘る人であれば、以下の本が参考になるかもしれない。

 

(ネイティブスピーカーが書いたイギリス英語の発音を習得するための本で、評価が高かったです)

またヨーロッパの英語教育も基本的にはイギリス英語なので、世界の多くの人と交流するということを考えれば、容認発音でもいいのかなと思う。

それに上でも紹介したように、オーストラリア、インドも容認発音に近い発音である。

けれども、日本やアメリカ中心で英語を話すのであれば、やはり一般アメリカ英語の習得を優先させたほうがいいと思うのだ。

私がおすすめするのは、ただアメリカ人のように話そうと、早口で話すのではなく、一般アメリカ語の規則に基づいたIPA(国際音声記号)をきちんと覚え、世界のどの国の人でも理解できるようなグローバル英語を習得することが、一番理想なのではないかということだ。そのために私が推奨しているもう一つのことは、OXFORD3000単語をきちんと覚えることでもある。


「世界では常識?日常英会話の90%以上は、OXFORD 3000単語だけで十分な理由」


この記事の一番上のレディ・ガガのように、あれくらいの速度でもいいので、はっきり発音(Enunciation)で、かつ文法を気を付けて話すことで、今後、どの国の人たちと話しても、お互いに理解できる英語に繋がるのではないかと思うのである。

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