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多言語を勉強して気づいた、英語の発音で最も厄介な æ / ɑ / ʌ / ə の違いと、ä / ɐ / ɒ の意味

2016年3月16日

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多言語を勉強して気づいた、英語の発音で最も厄介な æ / ɑ / ʌ / ə の違いと、ä / ɐ / ɒ の意味

2016年3月16日




多言語話者として現在海外の拠点から英語と複数言語を教えさせていただいているMULTILINGIRLです。twitterなどに動画(日本語以外の6言語を話している)も載せていますので気軽に絡んでください('ω')ノ

twitter→@_multilingirl_

さて、英語の母音が厄介な理由の1つに、日本語と違い英語にはいくつかのアのような音が存在するということだと思います。(実際にはどれも日本語のアとは違う)

多言語を勉強していると、色々な、アの音に悩まされるのですが、そのように多言語を勉強していると、英語のアが3つしかない。っていうのは、かわいいもの。とも思える。

発音が上手な人でも多くの人がこのアに近い音の区別を蔑ろにしているところがあると思います。

実際、これらのアの音をきちんと区別して覚えなくても、ネイティブスピーカーのように話せることは事実(発音よりもアクセントとイントネーションのほうが重要なため)なのですが、これらの音の違いが存在するということを理解することは、他の言語を学ぶときにも重要といえます。

「国際音声記号(IPA)を知ると、どんな言語の発音でも簡単になります」

また、これらのアの音は、英語を書いたとき、つまりスペルでは、すべて "a" と書かれていることが多く、国際音声記号を暗記するうえでは、一番厄介な存在と言えそうです。

ですが、覚えると、コツや傾向がどんどんわかってくるのと、アが区別できることで発音に対して、強い抵抗感もなくなってくると思います。

数をこなしていくと、ふと気づいた時に、コツをつかんでいる。そういうようなイメージかもしれません。

この動画はスペイン人が英語のアを習得しようとしている動画です

なぜ、スペイン語圏の人たちが、英語のアを一生懸命勉強しようとしているのかわかりますか?

それは、音声学において、スペイン語のアの発音は、日本語のアの発音と同じだからです。

以下、アと言われるものを並べていくと、こんな感じです。→ありすぎじゃねぇかぁ!!と思ったあなた。英語はたった3つですよ!?(④のəは厳密に言うとアではないため)


①æ 
②ɑ
③ʌ
④ə
⑤ä
⑥ɒ
⑦ɐ

赤い部分が、日本語のア。その上の黒い4つが英語のア。けれども、英語には、アメリカ英語とイギリス英語がありますが、この記事ではアメリカ英語の話をします。

イギリス英語だと、ɑ ではなく、ɒ になってしまうので…。

では、⑤はすでに日本語の中にあるので、①②③④(アメリカ英語にあるア)を解説していきたいと思います。



これら、④つのアは、どれも日本語に存在するアとは違います

例えば、カムというような音をする単語を例にとってみます。

①cam [kæm]



よく、エとアの中間の音。と言われる音です。ちなみに意味は、カメラの cam で、WEBカメラで動画を取るっていう意味に使える動詞にもなります。


そのため、この cam という単語ではキャのような音になります。舌の先端を下の前歯の裏につけるようなイメージでやってみると、喉から音が出る感覚を味わえます。


→舌の先端を前歯の裏に固定させたまま発することで、喉を使うというのがポイント。

また、アクセントが強い単語に使われることが多い発音です。そして、日本人がもっとも恥ずかしがりながら発する音でもあります。


また上の動画でも言っていますが、この音は基本的に短母音(②のようにアーと伸ばすような長母音ではないという意味)なのですが、アメリカ英語だとなぜか伸ばし、イギリス英語だと、伸ばさないで発音するという謎もあります。

Open front unrounded vowel(非円唇前舌広母音)

上のURLに、非円唇と書いていますが、英語には口を丸めるものと、丸めないものがあり、丸めないという意味で、

前舌というのは、舌を前のほうにもっていったまま発音するという意味です。また最後に広と書いてありますが、口を大きく開けるようなイメージです。




②calm [kɑm]




舌を引くことによって喉が開いた状態で伸ばすア。日本人が出しにくい音でもあります。というのも、日本語でもオーって言うときに、自ずと舌を引く形になっていますが、そういうイメージで、アーっていうからです。最初は慣れないので、徐々にやっていくようにしましょう。


私はわかりやすいように、メンティーさんとかには、歯医者さん行ったときに口大きく開ける感じだよ。と言いますが、それはイメージであり、

一番重要なことは、骨レベルで口を開けるというよりは、舌を引くことによって喉の入り口をパカっと開けることです。

Open back unrounded vowel(非円唇後舌広母音)

①と違い、後舌と書いてあります。つまり、舌を引くということなのです。

③come [kʌm]

日本語のアに近いような気もするのですが、アの形でオと言うような、アに近い発音で伸ばさない。


Open-mid back unrounded vowel(非円唇後舌半広母音 


こちらは、②に比べて、口を開けないバージョンです。ものによってはオに聞こえたりもするのが特徴。


④welcome [ˈwɛlkəm]





③とほとんど同じと言われていますが、この国際音声記号は、曖昧に発音するというのがもっとも基本的な発音方法です。なので、アとは限らないのです。スペルが  だとすれば、イをぼかしたような音になります。


ポイントは、英語はストレス・タイミング言語であるということ。つまり、アクセントがかかっている部分は国際音声記号に沿って読みますが、


この welcome のように、wel にアクセントがきて、その後が、弱い音になるので、自ずと、ə の音になるのです。役割を定義しようとすると、いくつかあるのですが、最近は、まとめて、シュワーと呼んでいることが多いです。


Schwa(シュワー)

英語の場合、この①②③④という順に音の強さが下がっていきます。


で、お多くの人は、アメリカ英語だけ覚えようと思っているかもしれませんが、イギリス英語をお勉強している人には以下の解説が役に立つかもしれません。

⑤ä
日本語のアなので、スルー。したいところですが、日本語と同じアを使っている言語は結構ありますが、なぜか英語にはないのですよね。

日本語と同じアしか使っていない言語
・インドネシア語
・スペイン語
・中国語

日本語と同じアと、違うアも使っている言語
・フランス語
・ドイツ語
・韓国語
・ロシア語
・アラビア語

日本語のアを使っていない言語
・英語

⑥ɒ
こちらはイギリス英語の時に必要になってくるもの。英語では、hot っていう単語は、ハーットのように聞こえますよね? dog もダーッグみたいに聞こえますよね?でも、イギリス英語だと、ホットとドッグという日本語みたいに聞こえるということに疑問を感じませんでしたか?

それは、アメリカ英語とイギリス英語がこの部分で、発音が違うからです。

hot [hɑt]→アメリカ英語
hot [hɒt]→イギリス英語


Open back rounded vowel(円唇後舌広母音)

②と同じなのですが、②は舌を丸めない。と言っているのに対して、こちらは舌を丸める。つまりオのような音になるということです。②はアーって伸ばしましたが、それをオに変えればいいだけです。

というように、国際音声記号一つ一つの名称を漢字をみながら推測することができます。

⑦ɐ
こちらはイギリス英語にあるものなのですが、最近は、ほぼほぼ、③が代替で使われていますので、特別覚える必要があるとは私自身感じていません。ドイツ語に頻出する音ですが、アを軽く言えばいい。その程度の知識でいいかと思います。

Near-open central vowel(中舌狭めの広母音)

最後に。アメリカ人が、caught をコートではなく、カートと発音する理由


アメリカ英語を聞いていると、

catch の過去形・過去分詞系である caught を kɔt と発音する人もいれば、kɑt と発音する人もいます。これは音声学では、cot-caught merger と言われているものです。

つまり、cot-caught merger とは、

cot [kɑt]
caught [kɔt]

という母音が全く違う発音の単語を同じように読んでしまう現象のことです。

たとえば、私は that's awkward! 気まずい!というのが口癖なのですが、この awkward も、ɔkwərd と発音する人もいれば、ɑkwərd と発音する人もいます。私の場合は、ɑkwərd なのですが…。

上の地図をご覧ください。

青いところが、cot [kɑt]と、caught [kɔt]の音をきちんと区別しているエリアで、代表的なところにニューヨーク市があげられます。

一方、カリフォルニアでは、cot [kɑt]も、caught [kɔt] も同じように発音されています。つまり、気分的に、アでもオでもいいじゃない?って感じだということです。


ちなみに、 cot-caught merger  は、the low back merger とか、 the lot–thought merger とかとも言われているのだそうです。


Reference Site
https://en.wikipedia.org/wiki/Cot–caught_merger

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