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1週間のフェルガナ盆地で5都市を開拓して感じた事、見た事、そのルート

2023年4月7日

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1週間のフェルガナ盆地で5都市を開拓して感じた事、見た事、そのルート

2023年4月7日

私は現在、今までずっと気になっていたけど行けていなかったフェルガナ調査へウズベキスタンにやってきている。ウズベキスタンは二度目であり、中央アジアは三度目。それぞれの滞在を全て合計すると、10ヶ月近くなる。

中央アジアといえば、キルギス全土、アルマトイ、タラズ、タルディコルガン、ウズベキスタンはタシケント、サマルカンド、ブハラなど。キルギスの田舎やタルディコルガン以外はほぼメジャーなところにしか行っていない。

さて今回やってきているのはウズベキスタンのフェルガナ盆地。ずっと地図で指を咥えてみていたフェルガナ盆地は面積的には東京の首都圏よりちょっと狭いくらいのエリアに30万〜40万都市が5つくらいあり、実質上フェルガナ盆地こそが中央アジアで一番人口が密集しているエリアであるということを発見した。→この事実はほとんど知られていないと思う。

それにもかかわらずこのフェルガナ盆地には外国人観光客があまりやってこない。

その理由はウズベキスタンといえばやはりタシケントやブハラ、サマルカンドであり、あちらの方が見るものもあるため、よほどウズベキスタンにハマったものしかこっちまで来ないのだと思う。

私はそんなフェルガナ盆地の拠点としてフェルガナ市内に数泊しながらそれぞれの都市に足を踏み入れてみた。そのことを記録としてこの記事ではまとめていきたいと思う。

 

①フェルガナ盆地(中央アジア最大の人口密集地)

フェルガナ盆地(1400万人=およそウズベキスタンの半分くらい)はもともと、仏教を中国に伝えたりもしたソグド人の土地。また、ゾロアスター教の古地ともなっている。のちに、ペルシア語を話す人たちの人口が増え、現在はチュルク語系のウズベキスタンとなっている。

そしてこの盆地の中心部のほとんどがウズベキスタンの領土なのだけど、この地図にあるようにオシ(キルギス)、そしてホジェンド(タジキスタン)もこのフェルガナ盆地にある都市である。ちなみにフェルガナ盆地はキルギスという山に囲まれている。

そしてタシケントは近いように見えるがタシケントとフェルガナ盆地の間には非常に高い山があり遮られている(地図ではわからないが)。

以下の地図は上の地図と同じ距離にしてスクショした。

つまり、タシケントからフェルガナ盆地に行く感覚は、東京から名古屋・浜松・静岡の大都市密集地に移動するような感覚。

とはいってもフェルガナ盆地自体は、関東平野のような広さがあり、関東平野のイメージなのだけどね。

フェルガナ盆地だけで一つの国が誕生しているのが普通と思われるのだけど、この辺は色んな文明の衝突があったらしく、ソ連崩壊後も、3つの国が入り混ざる不思議なエリアとなってしまっている。

私は今回、タシケント空港→タシケント空港に近いホステル(仮眠のみ)→ウズベキスタン鉄道でマルギラン駅→フェルガナ市に3泊、その間にナマンガンとアンディジャンの日帰り視察→コーカンド1泊→ホジェンド7泊という感じで回った。

ホジェンドについては以下。

「タジク第2の都市「ホジェンド」で1週間滞在して感じた事や、国境越え、宿、見どころなど」

ではでは、それぞれの事を時系列にまとめていきたいと思う。

 

②タシケント空港→マルギラン駅(寝台電車=ウズベキスタン鉄道)

タシケント南駅からウズベキスタン鉄道で寝台列車に乗り4人部屋。この写真は降りる前に他の部屋を撮影したが、私が実際に5時間くらい横になっていた部屋は下に若い夫婦と小さい子供ちゃんがいた。

で、マルギラン駅に降りた。そこからタクシーでフェルガナ市内までの10kmくらいが、200円行かないレベルであった。

 

③フェルガナ(3泊)

フェルガナ市(30万人=95 km2)とマルギラン(25万人=40.83 km2)、は隣り合わせるようにあり、標高590 mくらいの場所にある。

両都市を合計すると55万人規模であり、フェルガナ盆地の中でもかなり人口の多いエリアとなるが、この二つの都市は隣り合わせになっているにもかかわらず、その間に大きな畑などがあり、一つの都市圏を形成しているとはいえないようになっているのもまた面白い。ちなみに、大宛国、ゾロアスター教の故地の1つとされる。

マルギラン市とフェルガナ市、なぜ二つの大きな都市がこんな一つの場所に隣り合わせにあるのだろう?と色々調べてみると、マルギラン市は割と古い都市であるのに対して、フェルガナ市は中心部を見ればわかるように、ソ連時代に形成された都市のようだ(現在のフェルガナ市自体には昔から歴史はあったみたいだが)。

ちなみにフェルガナ市は、ウズベキスタンで最も美しく、ユニークで権威ある地域の 1 つとされている。ロシア語のサイトを調べてみると、やはりフェルガナ市の過去の人口動態をみていると、

1911 年、人口は 11,892 人でした。これらのうち、ロシア人 7,534 (63%)。

となっている。つまり、フェルガナ市には文明はもともとあったけれどもフェルガナ市が都市として活躍するのはロシア人がこの中心部に都市を建設してからだということがわかる。

さて、私の中でこの疑問は解決。以下が借りたお部屋(写真が多いのでツイートに流した)。

今回私は博物館(150円ほど)でブログの素材となりそうな写真を撮ったり、ショッピングモールなどを見て回ってきた。満足できるような規模のショッピングモールはなかったが。→やはりタシケント、ビシュケクのほうまでいかないとなかなかこういうのはないね。

で、今回フェルガナに3日泊まった理由は、実際にフェルガナ盆地の中心部というか、マルギランと合わせても60万人くらい人口がいる上、場所的にも真ん中なので今後、ここで1ヶ月住めるか?という目線で来たので、私の一番感じたかった街の雰囲気(めちゃ良い)とアパートの質が合格レベルなので、次回も来るだろう。

 

④マルギラン

マルギランは、hen(雌鶏)+city(都市=ソグド語やイラン語)という意味の都市で、人口などは上に書いた通り。

フェルガナから20分もかからず200円くらいでタクシーで行けちゃうマルギラン。上にも書いた通り比較的大きな都市が隣り合っているのは珍しいよね。さて、私はYodgorlik Silk Factory(シルク工房的な場所)に行ってきた。

長い間(今も)、シルクの拠点であるようで、繊維系産業が栄えているよう。ここにきて、ここがシルクロードのど真ん中なんだな。と勝手に感じた。→マルギランは昔は売春宿に埋もれていたため、隊商のお気に入りの休憩場所だったという性格もあるようだ。

ソ連時代は闇市場の中心だったらしく。現在は保守的なイスラム教の本拠地でもようで、以下のようなモスクもあった。

ナマンガンと同じく、12 世紀から 17 世紀にかけて、現在のウズベク人よりも、ペルシア語を話すひとたちの間での大都市的な場所であったと言われている。

私的に、フェルガナ盆地の中でもこのマルギランというのがかなり古い町なのではないか?と感じた。ほとんど目立たない名前なのだけど、その土地に行くとなんとなく、その感覚がわかった。

 

 

⑤アンディジャン(日帰り)

アンディジャン州は、フェルガナ盆地の1/3程度の広さがあり、人口はここだけで330万(詳細)=キルギスの人口のおよそ半分..。その中心に位置するのがアンディジャン市(44万人)(74.3 km2)(標高500 m)なのだけど、

フェルガナ盆地の中で一番都会的な雰囲気があると思った。

街並みは国境を超えてすぐの場所にあるオシ(キルギス)よりも都会的な雰囲気があり、洗練された印象。キルギス側のオシュ地方が、140万人ということを考えれば、それよりはるかに小さい面積の中に330万人もいて都会的だということがわかるかもしれない。

ちなみにアンディジャン州は、ウズベキスタン国内でタシケントを除けば一番人口密度が高いエリアとなっているという。今回私がアンディジャンを視察した理由は、2021年秋にオシに2ヶ月もいたのにアンディジャンは通過したことしかなく、やはり近いとはいえそこには国境があるので全くアンディジャンに対しては無知だったから。というのがある。

オシにいた時から、せめてアンディジャンは中心部にある巨大なショッピングモールには行ってみたいというのがあり、その周辺に行ってきた。やはり他のフェルガナ盆地にある都市に比べ、人々の感じが保守的なではない感じがあり、驚いたのはキルギスに近いからなのか、顔立ちが割とモンゴロイドに近いというか、モンゴル系になっているということである。

また調べてみると、ウズベキスタンはキルギス以外では、世界最大のキルギスコミュニティが存在することも判明。

その中心なのがアンディジャン州。なんと、330万人の人口のうち、キルギス人は10万人も住んでいるという。

アンディジャン州の民族構成(ウズベク人以外)

アルメニア人 - 314人。
キルギス - 102,517 人
韓国人 - 2,979 人。
ロシア人 - 18,987 人。

ちなみに以下は1970 年の国勢調査によるウズベキスタン国内におけるキルギス人の人口。

アンディジャン州- 45575人
ブハラ地方 - 316人
カシュカダリヤ地域 — 48人
ナマンガン地域 - 13502人
サマルカンド地域 - 3632人
スルハンダリヤ地域 - 69人
タシケント市 — 1105人
タシケント地方 - 7140人
フェルガナ地方 - 29999人
ホレズム地方 — 15人
カラカルパック ASSR - 400人

これをみると、アンディジャン州のキルギス人口は昔に比べてむしろ二倍になっている。これでアンディジャンに行った時に、キルギス人っぽい人をたくさん見かけた謎が解けた・・。

私がアンディジャンに求めているものは、次回オシに2ヶ月住んだ時にアンディジャンにも1ヶ月滞在したい。というところにあるので、住みやすさの面でみれば、長期滞在できそうな感覚を得たのでそれが唯一の収穫だった。

 

⑥ナマンガン(日帰り)

ナマンガン(64万人=145 km2)(標高 450 m)は、ペルシア語で、salt(塩の)+mine(鉱山)という意味。フェルガナ盆地最大の都市を抱える。大都市でありながら、中央アジアを旅する人などが絶対に訪れない都市だと思う。

1番知名度が低い気がするのにも関わらず人口で言えば実質タシケントに次ぐ大都市。51万人(120 km2) を抱えるサマルカンドがウズベキスタン第二の都市とよく言われているが、実は第二の都市であるという事は私も今回初めて知った。

ナマンガン北部には、キルギスのケルベン(1.6万人)という町に繋がっている。

今回、フェルガナのバスターミナルから来てみたのだけど、早く来過ぎたようで、バスに乗ってから出発したのは2時間後。しかも2時間以内に着くと持ったら3時間くらいかかった。あとでバス時刻などの情報も入手したが、インターネットだと知り得ない情報なので現地で自分で確認するしかなかった。

※3時間近く走らせて120円というバス。。。。

さて、ウズベキスタンでは、というよりもフェルガナで外国人は珍しいようでバスの中にいた若者とたくさん目があったり、最終的には一緒に写真撮ってと言われたり、番号聞かれたりなど、ものすごい大変だった。私は声をかけられやすいので、あまり声をかけられないように、フーン。みたいな顔をするようにしているのだけど、それもきかなかった・・。

上に出した近代的な写真は、アフソナラル・ヴォジシ(Afsonalar vodiysi)という公園。ナマンガンは東側にあるロシアが建設した中心部のロシア的な場所と、西側にあるこのテーマパーク的な公園を繋ぐように都市が形成されている。

近代的なショッピングセンター的なものもほとんどない。が、やはりバザールに行けば何かしらあるのでこの土地に住んでいる人にとって大型ショッピングセンターは不要なのかもしれない。

問題は宿。Airbnbでも、booking.com(一泊4000円のもの一つのみ)でもほとんどなかったので、フェルガナからの日帰りとなる。帰りは乗合バスや上のようなバスもなく、配車アプリで1800円くらいで2時間ちょっとかけて帰った。

その際にやはり助手席に座るので、隣のロシア系が混ざったウズベク人と話さなければならなくかなり疲れた。。が自分のロシア語がかなり向上していることにも気づけた。

ちなみにナマンガンは、やはり浅黒く顔の濃い人が多かった。これは来る前にも調べていたのだけど、私が2021年キルギスのアルスタンバプに行った時に感じた事と同じで、もともとこの土地はキルギス人よりもソグド人の土地であり、19世紀半ばまでタジク人が多数を占めていた。と言われている。なので先祖代々ずっとそこに住んでいる人たちの顔かもしれない。→キルギス人やウズベク人の平均に比べ頭が小さい。

実際に英語版のwikiを見てみると、ナマンガンはウズベク人とタジク人が多数派(少数のタジク語話者)で構成されているとなっている。産業は農業。のようで都市規模が大きいにも関わらずあまり素朴な町で、私はものすごく気に入った。

 

⑦コーカンド(1泊)

人口は、26万人(40 km2)(標高409 m)のコーカンドは、コーカンド・ハン国(1709年 - 1876年)の首都だった場所。都市名は非常に覚えやすい。フェルガナ盆地の大都市の中で一番田舎?と感じた。また保守的な香りがした。

その都市に行くと独特の空気感を感じるのだけど、コーカンドはマルギランよりも一番保守的なのでは?

借りたお部屋はこれ。最初、booking.comに載ってた写真と違う部屋を案内されたので、こっちにしてもらったが、今度はドアの鍵が開けづらいという不満もあったが一泊なので気にならなかった。

特に街の中は見るものがあるか?と言われればない感じで、上の宮殿周辺の景色くらいだった。また、タジキスタンに近いためか、顔の濃い人が増えた気がする。同じフェルガナ盆地内でも、なんか保守的で、顔の濃い人が多い。という感じに変わったのが不思議だった。

ちなみにマルギランからウズベキスタン鉄道で1000円以下(1時間)の距離。

記事の上の方にもリンクしたが、以下ホジェンドに続く。

「タジク第2の都市「ホジェンド」で1週間滞在して感じた事や、国境越え、宿、見どころなど」

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