ペルシア語・ヒンディー語

差別対象?インド北東部に日本人のような顔の民族がいる理由

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差別対象?インド北東部に日本人のような顔の民族がいる理由

インドは実に多様な民族と宗教を兼ね備えた国である。だからインドにハマってしまったものは何度もリピートしてしまう。と私は思っている。もちろんインドでお腹壊したり、場所によってインドが好きになれなかった人も同じくらいいるだろう。

私は2回のインドを経て、インドにハマってしまった人の1人だ。

1回目はデリーに3泊ほど母と行ったくらいで、旅行にはいいけど住むのはどうかな。という感じだったが、2回目はデリー、グルガオン、チャンディーガルを軽く旅行して、ダラムサラ(チベット人が多く住む、インド北部ヒマラヤに近い場所にある町)に2週間もいてしまった。

「インドのチベット「ダラムシャーラー」に2週間滞在。ノマドは可能か?」

まさにそこはインドではなく、東アジアでもなく、なんとも言えない場所だったのである。

確信していることは、あそこに住んでいるチベット人はインド本土から来る観光客よりも、私のような東アジア系の観光客に対して物凄く特別に思っているということだろう。決して彼らは口や態度には出さないが。。→その適度な距離かも好きだった。

さて、この記事では、以下の記事でも少し触れた、インドに住む日本人に顔の似た人たちについて語っていきたいと思う。

「インド人が白人のような顔をしている理由と、南北における言語対立」

 

①インドの人種をざっくり

インド北部→白人のような人もたまにいる

インド南部→黒人のような人もたまにいる

インド北東部→日本人みたいな東アジア人顔の人がたくさんいる

インド全体→色んなのがミックスしていてすでに不明な人種になってる人も多い。。

インドの言語話者数ランキングにはその言語系統の多様さから、インドが実は一つの国ではない。とくらい言える実態がわかってくる。

「インド国内におけるネイティブ言語 TOP30」

どの言語系統の言葉を話すか?ということはその人がどのようなバックグラウンドをもった人種なのかを探る手がかりにはなるが、日本に移民した様々な人たちが日本で結婚を繰り返して今の日本人がいるように、参考程度にしかならない。

それでもインドは日本と違い、4つの言語系統が存在する国であり、これは非常に珍しい。

 

シナ・チベット語族=中国語などに近い→チベット語や、インド北東部の言語

オーストロアジア語族=ベトナム語などに近い(ここが一番知られていないところである)

ドラヴィダ語族=インド固有(特に南部に集中し、インドに昔からいた人たちの言語であり、タミル語は最も古いとも言われる)

インド・ヨーロッパ語族=北部の言語に集中。ヨーロッパの言語であり、北部は形質的に白人っぽい人が多い。

このようにざっくり言語系統で分ける事ができる。

今回は、主に、シナ・チベット語族と、オーストロアジア語族を家庭で話す人たちのことを中心に書いていきたいと思う。彼らがまさに東アジアに近い顔立ちの人が多いからである。

 

②日本人似の多くは、北部と北東部とヒマラヤ山脈の麓

東アジア系の顔立ちをした人たちの多くは、このようにインド北東部に多く集中。まさにインド国内というよりも、東側はミャンマーとの国境であり、西側はバングラデシュとの国境である。そして、微かにインドとうまい具合に細く繋がっているため、インドからは陸続きで行く事ができる。

この地図は、およそ5000万人ほどが住むインドの7姉妹州と言われるエリア。ここがいわゆるインドの北東部の地区である。インドでは、Seven sisters とか、Northeast India など、色んな呼び方がされている。

この中心部がアッサム州であり、2600万人ほどが住んでいる。

日本人似の顔立ちは、このインド北東部以外にも、私が直接行ってきたダラムサラや、ラダックなどのチベット人が多い地区にも当然いる。またインド南部のバンガロールからそれほど遠くない場所にも、チベット人が集まるビラクッペという街がある。

またデリーの北東部にはチベット人地区があるよね。

 

③インド人から異国扱いされるインド北東人

 

この動画は、数年前に流行った動画である。ここは東南アジアか?とも思えるほど、デリーなどにいるインド人とは顔立ちが違うのがわかると思う。デリーを中心としたアーリア系インド人からすると、これらの顔立ちは自分たちとは全く異なったものだと思っている。

で、インド北東部の人たちも黙ってはいない。色々な差別などに立ち向かったり、自分たちがなぜインド人(インド国籍)になったのかわかってほしいと主張している人もいる。一部の主張として、インド北東部はもともとインドではなく、イギリスの植民地のせいで出来上がった問題だと言う人もいた。

 

④ムガル帝国(1526年ー1858年)

ムガル帝国。歴史で学んだかもしれないけど、インドを知る上でかなり重要な部分になってくる。インドが現在のような形を成すに至った、つまりものすごい広い領土を抱えるまでの基礎的段階がこの時代である。ちなみに詳しくは割愛するが、モンゴルを意味するムガールが訛って、ムガル帝国になったのは覚えておいた方がいいかもしれない。

※アーリア系のインドにおいてもモンゴルの影響があったといえる証拠。

さて、この地図を見てみるとわかるのだけど、1526年ー1858年まで続いたムガル帝国のときには、このいわゆる北東インドエリアは入っていなかったということになっている。後半でもしかしたらもっと広がっている可能性もあるが。。

で、

 

⑤インド帝国(1858年 - 1947年)

その後、このムガル帝国をさらに、ミャンマーの方まで組み込む形でイギリス帝国がインド帝国を支配する形となり、驚くほど広い領土のインド帝国が成立した。Quoraなどの現地の北東インド人の意見を見ていると、そもそも、俺らの東北部はインドじゃなかったんだ。と思っている人が多いのだとか。

いわゆるミャンマーに住むロヒンギャたちも、イギリスの支配時代に入ってきただとか、元々いなかっただとかで揉めているわけで、この辺は結構複雑なのかもしれない。

 

⑥インド人から差別されている?

さて、

「日本人顔がインドで見下される可能性がある理由と「シッキム王国」とチベットとの関係」

という記事でも触れた事があるのだけど、インド北東部の東アジア系の顔立ちをしたインド人は、一般のインド人から差別されていると感じる事があるという。

このような動画は数年前にインドで流行っていた。"northeast Indian discrimination" などと検索するとこの類の動画はたくさん出てくる。それほどタブーにもなっていなく、単に日本人が知らない領域というだけのことである。

 

⑦ブータンとチベット

インド北東部というのは北側にブータンとチベットがあり、もともとそれらの民族に近い人たちがいたと考えれば自然かもしれない。チベット語もまたシナ・チベット語族の言語なので、やはり、北東インドにいるモンゴロイド系の顔立ちをした人は、チベット、ミャンマーと近く、もしミャンマーにいきたいけど今は行けないので断念しているとかであれば、インドは5年くらいの観光ビザを発行しているし、こういうインド北東部を開拓するのも一つの手だよね。

 

⑧アイザウルは、リトル・東京?

インド人ユーチューバーがヒンディー語話者向けに作った動画の中にはこういうものもある。つまり、インド北東部には東アジア系の人たちが多く住んでいて、その中でも、アイザウルという都市はすごいよ!っていうものだ。

私もインドのダラムサラに行く前のベトナムで、以下のような記事を作ったことがある。

「ミゾラム州の(アイザウル)でノマドは可能か。そしてミゾ語とは?」

ここに住むものはヒンディー語があまりわからず、シナ・チベット語族(中国語と同じ系統)のアイザウル語を話す。ミャンマーとの国境の近くにあり、ミャンマーのビルマ語も中国語と同じ言語系統なので、この辺がアーリア系のインド人から見れば異国となるのがなんとなくわかるかもしれない。

それにしても、リトル・東京!と宣伝するほど、一般のインド人からすればアイザウルは色んな意味でかけ離れた世界に見えるようだ。

 

⑨インド北東部は日本からの投資が多い

インド北東部は日本からの投資が多い。そして日本とインドの開発関連の動画を見ていると、そのコメント欄にはインドの北東部にもっと工場を作ってくれ!とか、インド北東部に進出してほしい系のコメントが目立っていた。

おそらくインド全体で、日本人はもっとインド北東部に進出してインド経済に貢献してくれ!と期待しているのかもしれない。

 

⑩インドのダラムサラ

冒頭にも書いたが、インドにいる東アジア系の人たちは何もインド北東部だけではない。ヒマラヤ山脈の麓にはもともとチベット人もいたので、チベット人が色んなエリアに散らばっている。それは以前以下の記事でも書いた。

「チベット語を勉強するメリットと、インドに住むチベット系民族の実態」

その中で私が2週間視察として滞在したのがダラムサラ。そこまで大きな街ではないのだけど亡命チベット人や、ダライ・ラマなどが住んでいる。ここでは住民の多くがチベット系の人たちだったのでインド疲れの日本人がよくわざわざ訪れることでも有名。

私もインドのデリー、グルガオン、チャンディーガルにはずっといたいとは思わなかったが、ダラムサラはずっと住めるかも。と思ったくらい居心地が良かった。ぜひ、デリーの混沌さに飽きたら立ち寄ってみることをお勧め。

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