グローバル言語化した英語の本拠地ともいえるアメリカではどんな言語が人気なのか。それをどの言語が学ばれているのか。によって調べていきたいと思いこの記事を書き出した。この記事では、アメリカにおけるいくつかのランキングから結局どの言語がアメリカでは人気なのか?ということをマルチリンガールが示していきたいと思う。
この記事で参考にするランキングは、
①2016年のアメリカにおける大学生が専攻している外国語をもとにしたランキング
②2007年ー2008年(K-12の学生)で学ばれた言語ランキング
③Duolingoによるアプリで学習されている言語(2021年)
④→①②の合計
ちなみにアメリカで話されている言語はまた全然違うのも面白い。
これによってアメリカによる多言語社会を少し垣間見ることができるかもしれない。またアメリカで人気の外国語を知ることで、新たな発見があると思う。
ちなみに、ヨーロッパ編は以下。
①2016年のアメリカにおける大学生が専攻している外国語をもとにしたランキング
10位 ポルトガル語 1万人
9位 韓国語 1.3万人
8位 ロシア語 2万人
7位 アラビア語 3.1万人
6位 中国語 5.3万人
5位 イタリア語 5.6万人
4位 日本語 6.8万人
3位 ドイツ語 8万人
2位 フランス語 17万人
1位 スペイン語 71万人
アメリカには5000万人以上のスペイン語話者がいてアメリカ社会では第二言語的な扱いということもあるので、スペイン語を第二外国語として学ぶということは普通であると考えると、実質上アメリカで一番人気の外国語というのはフランス語ということになる。
また、ラテン語(2.4万人)、古典ギリシャ語(1.3万人)、古典ヘブライ語(9500人)もこのランキングに入っていたがこれらは現在話されている言語ではなく教養としての言語なので、このランキングには入れなかった。
英語の本拠地アメリカで一番学ばれている言語はスペイン語。これは日本で英語の次に中国語が学ばれているのと同じ感覚である。
②2007年ー2008年(K-12の学生)で学ばれた言語
7位 ロシア語 1.2万人
6位 中国語 6万人
5位 イタリア語 6.5万人
4位 日本語 7.2万人
3位 ドイツ語 39万人
2位 フランス語 125万人
1位 スペイン語 641万人
K12とは、「幼稚園の年長から始まり高等学校を卒業するまでの13年間の教育期間」であり、大学までの間の教育で学んだ人が多い言語ランキングなので、上の大学だけよりも数字がかなり多くなっている。とはいっても、日本語やイタリア語の学習者人口が大学のと変わらないのが面白い。むしろ選択肢が大学よりも少ない可能性があるのでフランス語やスペイン語の学習者人口が多く反映されている可能性がある。
③duolingo によるランキング(2021年版)
https://blog.duolingo.com/whats-the-most-popular-language-in-the-united-states/
Duolingo(デュオリンゴ)によるアプリにおいての言語学習者数などをもとに、アメリカの州別にどの州ではどの言語が一番学ばれているのか?といった調査。上の大学や、K-12のランキングとかなり重なる部分はあるものの、アメリカはEUのようにいくつもの国が連なったような国家なので、このようにどの州ではどの言語が人気なのかがわかる方が合理的な気がする。
さて、この図は3番目に多く学ばれている言語を色で表したもの。
例えば西海岸のカリフォルニア、フロリダの部分が青くなっている。これはフランス語が3番目に学ばれているという意味。この辺はメキシコとも近くヒスパニック系の人口も多いことから、スペイン語→英語→フランス語というような順になっている。
アプリで学ばれている言語なので、第三番目に英語が学ばれているエリアもある。→緑色
で、フランス語の次に目立つのはオレンジ色である。アメリカ北部や、アラスカなどではドイツ語が第3番目に学ばれている言語となっている。アメリカ全体の70%の州では2番目に学ぶ言語がフランス語となっているのでそれと比較したらわかりやすいかもしれない。
さて、この図で一番注目して欲しかったのが赤い部分である。2017年のDuolingo 調査ではドイツ語だった部分が、2021年の調査では、日本語が第3番目に学ばれている州は4つも増えているのである。
これは、日本語学習熱がアメリカで台頭してきている証拠と言えそう。ちなみにハワイには日本人が多いのでハワイにおける日本語学習熱は元々から高かったとのこと。もう一ついうと、廃れてきてるとも思われているハワイ語の学習熱がハワイ州で高まっていることだ。Duolingo の調査によれば、ハワイではスペイン語>ハワイ語>日本語という順番に外国語が学ばれている模様。
ハワイ語。って日本語と響きが似ていて面白いので、興味を持つ人が増えてほしいなと私も思っている。
「ハワイ語を勉強するメリット(発音は日本語に近く、東南アジア言語の親戚)」
④K-12と、大学の学習者数を合計
以下より、上にあげた教育課程での外国語学習者を合計して順に並べてみる。
6位 中国語
合計 11.3万人
中国の経済的な発展とともに中国語学習者の増加が見込まれそうな気もするが、現在はどのくらいの数字になっているのかは不明。この合計も2016年以前のものであるので。とはいっても中国語熱的な記事を英語圏で探すと、そのほとんどが2018年前に書かれたもの。
2017年頃は今後アメリカで中国語学習者が増えるというトレンドがあったかもしれないが、アメリカにおける中国の政治宣伝、諜報活動の拠点との指摘されている孔子学院の閉鎖とともに、そこまで今後伸びていかない可能性も高い。
それよりもアニメなどの影響で日本語学習者が増加していくのでは?とも思う。
ちなみに、当時のオバマ大統領は、2020年までに、100万人のアメリカ人を中国に精通した人材として育てようと目標に掲げていたが、おそらくこれは実現されていないように思える。
https://uschinastrong.org/initiatives/1-million-strong/
5位 イタリア語
合計 12.1万人
イタリア語の響き、ブランド的な国家価値。歴史的な故郷など、色々な要素がぎっしり詰まっているのでイタリア語は人気なのだろう。
4位 日本語
合計 14万人
一見、日本語ってあまり学ばれていない言語なのだなと日本人であれば思ってしまいそうだけれども、かなり3位とは差があるとはいえアメリカ国内では4番目に学ばれている言語となっている。とはいっても日本よりはるかに国規模での経済的なレベルは低いイタリア語が日本語とほぼ同じ。
Duolingo の調査でも触れたが、今後、ドイツ語に変わってアメリカで3番目に多く学ばれる言語になる可能性は十分にありそうだけれども、まだまだ時間がかかりそうだ。
3位 ドイツ語
合計 47万人
2位のフランス語とはかなりの差がありここがまた面白い。ドイツ人は英語が話せるとか、フランス語はアフリカや、太平洋諸島、カナダでも話される言語なのに対してドイツ語はドイツ周辺だけ。というのも一つの理由かもしれない。
ちなみに、アメリカの10分の1程度の白人の祖先はドイツ系であり、以前はアメリカにおいてもドイツ語人口がかなり多かったが皆英語話者になってしまったという事実もある。
https://en.wikipedia.org/wiki/German_Americans
※2014年において、アメリカの人口の14.4%である4604万人がドイツ系だということが判明。
2位 フランス語
合計 144万人
英語を理解するにはフランス語が必要と言われるくらい英語とフランス語の結びつきは非常に強い。アメリカにおけるフランス語熱が高い理由はやはり一種の憧れによるものだと思う。ちなみにフランス語話者人口はスペイン語話者人口に比べ少ない感じがあるが、スペイン語と違いフランスは世界のどの大陸でも使われている言語である。
話者人口だけでなく、文化や憧れで学ばれる言語は今後もずっと学ばれ続ける言語であると思う。
1位 スペイン語
合計 720万人
アメリカにおけるスペイン語は、日本語における中国語と思った場合、あまりにも多い数字となる。つまりアメリカには5000万人を超えるヒスパニック系住民が住んでいるのであり、彼らの多くが専攻している可能性もあるし、今後はスペイン語話者がもっと増えていくとも予想されているので、アメリカで人気があるか?というよりは必須となってきている感を強く感じる。
ちなみにアメリカ大陸全体で考えると、アメリカの隣国であるメキシコをはじめ、北米・中米・南米、全部を合わせたアメリカでは実はスペイン語話者の比率のほうが多い。