人種・民族・外見・風習

アフガニスタンに住む日本人似の「ハザーラ人」が差別(迫害)される理由

2021年9月3日

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アフガニスタンに住む日本人似の「ハザーラ人」が差別(迫害)される理由

2021年9月3日




現在モスクワ生活のマルチリンガール。次回書こうと思うのだけどここモスクワにいると感じる事は中央アジア人率が非常に高いという事。ここにいるとロシア人というよりも、中央アジア人を意識してしまう。今まさに話題になっているアフガニスタン情勢もここにいると、東京にいるときよりももっと身近に感じる。

その理由はやはりモスクワに出稼ぎに来る中央アジア、旧ソ連国の人たちが毎日のように目に入ってくるからだろう。さて、この記事ではそんな現在の私にとっても世界情勢的にも身近なアフガニスタンに住む少数派の民族に焦点を当てて書いていきたい。

というのもタリバンのことばかり報じられていて、こういった少数民族の事はあまり語られていないからだ。

大雑把に書いていこうと思うけれども、ハザーラ人のことを少しでも理解できると、今現在のアフガニスタンを理解する一つの助けになるかもしれない。また、ハザーラ人のことを知ると、世の中にはもっと日本人に似ている民族がいるのか。ということも分かってくるかもしれない。(知識不足で、以下の記事を書いた時はまだハザーラ人の存在を知らなかった私だが…。)

「意外に知られていない、日本人に顔が似ている民族・国家 TOP20」

 

①「ハザーラ人」と「ハザール人」は違うので注意!

まずハザーラ人(ハザラ人)のことを書いていく前に、ハザーラ人と名前が似ているハザール人は、全くアフガニスタンと関係のない民族であり、モンゴロイド系でもない。ということは最初に言っておく。

7世紀から10世紀にかけてカスピ海の北からコーカサス、黒海沿いに栄えた遊牧民族およびその国家。 支配者層はテュルク系民族と推測されており、支配者層が9世紀頃にユダヤ教に改宗したことは有名である。

と説明されていることからも分かるように、ハザーラ人と名前の似ているハザール人はアフガニスタンとは関係ないが、やはりモンゴルからトルコにかけての遊牧民族なので、余計にその影響下にあったアフガニスタン(モンゴル帝国の影響下にあったこともある)と重なる部分もあり、名前が似ていて私も最初、どっちがどっちだか分からなかった。

今後、色んな民族を勉強するのであれば、必ず名前が似てるので混同する可能性があると思うので注意しよう。




②ハザーラ人と、その言語

さて、この記事ではハザーラ人のことを書いていく。ハザーラ人とは、アフガニスタンに住んでいるモンゴロイド系の民族。アフガニスタン以外にもイランにも住んでる。そして彼らが現在話す言語はダリー語。とは言ってもダリー語の方言のような扱いになっているハザラギ方言と呼ばれる言語を話す。この中には、中央アジアやトルコで話されているチュルク語族の単語や、モンゴル語の単語が入っているものの、ダリー語とほとんど相互に通じる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Hazaragi_dialect

やはり民族のことを語る時、その民族がどんな言語を話すか?ということに注目しなければならない。その方が歴史を理解するときに役立つからである。

このダリー語というのは簡単に言えばイランで話されているペルシア語と同じ言語であり、イギリス英語とアメリカ英語くらいの違いと覚えればいいかもしれない。

ハザーラ人はもともと外見的にもモンゴルから来たような民族なのに、なぜイラン系の言語を話すのか。それはおいおい少し説明していくけれども、そもそも、言語学的に言えば、言語交換されてしまった。という言い方が正しいかもしれない。

モンゴル帝国が勢力を伸ばした時代にアフガニスタンまでやってきた人たちは最初はモゴール語を話していたが、時間の経過とともにアフガニスタン人が使っているダリー語を使うようになっていったという感じ。

つまり民族性は守っていながらも自らが保ってきた言語系統をダリー語と交換されてしまった形で今もなお民族性を保っているという感じだろうか。ここは非常に面白い。例に取ると日本でもアイヌ民族はアイヌ語を話していたが日本語を話すようになって自分たちの言語が他の言語系統と交換された。ようなことに近い意味。

 

③ハザーラ人の外見。日本人に似ているの?

https://www.pinterest.jp/pin/325314773055192906/

まず一番興味深いこのハザーラ人という人たちが日本人に外見が似ているということ。なので日本人が彼らの民族衣装を着て歩いていれば、アフガニスタン人からすればそれはハザーラ人に見えるという。これはどういうことか?というと、おいおい書いていくけれども、つまりハザーラ人と同じような格好をしていると、それが例え日本人であってもアフガニスタンで差別される可能性があるということ。とも言える。

こちらもネットで見つけた写真。高校生のときに同級生だった女性に似ている。一重瞼なのだけどアイライナーでかなり美人になるタイプ。彼女が一重なのか二重なのかは不明だけれどもね・・。バーミヤン出身と書いてある。

https://eurasianet.org/mongolia-afghanistans-minority-hazara-students-find-peace-in-ulaanbaatar

もう一つ二つ。名前忘れたけど、日本の女優にもいそうな、顔薄めの女性も発見。

https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/photography/pakistan-hazara-ethnic-minority-community-quetta-a8995466.html

以下のURLには、白人よりなのだけど顔の形がほぼ日本人にそっくりの少年4人くらいも載っていた・・。

https://blogs.lse.ac.uk/southasia/2021/02/08/hazara-representation-in-popular-culture/

ではでは、ハザーラ人に対するその差別や、ハザーラ人とパシュトゥーン人の確執を少しだけ以下で書いていきたいと思う。




④ハザーラ人が差別対象になってしまうと考えられる3つの原因

よく言われること。それは日本人がハザーラ人の民族衣装を着ていれば、ほぼほぼハザーラ人に見えてしまうため、現地のアフガニスタン人からいじめられる可能性があるといことだ。それくらいハザーラ人はモンゴロイド系の民族であるということ。これは上にも書いた。

目をつけられる理由は、まずアフガニスタンの少数民族とはいえその人口の多さである。

もう一つは、人種の違い。ハザーラ人は日本人と同じようなモンゴロイド系なのに対して、アフガニスタンの多数はであるパシュトゥーン人は骨レベルで言えば白人。これはインド北部の人たちと似ているので、そのように考えれば分かりやすいかもしれない。

インドでも、白人寄りの北方インド人と、北東部に住む中国人に外見の似たインド人は全く外見が違うため、北東部のインド人が差別をされていると訴えている。

「インド人が白人のような顔をしている理由と、インド北東部に日本人のような民族がいる理由」

そしてここがかなり大きいのだけど、信仰の違いである。ハザーラ人は、シーア派。パシュトゥーン人はスンニ派。サウジアラビア(スンニ派)とイラン(シーア派)が仲が悪いように、同じイスラム教徒とはいえ、違いもあるので、ここは影響が大きいと思う。

 

⑤「ハザリスタン」と、パシュトゥーン人との確執

カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、アフガニスタン。と、スタンがつく国がいくつもある。これはStand, State のような概念を表すもので、ここでは国のような意味なのである。ハザール人が集まるエリアも決して国ではないのだけれども、このハザリスタンという名前がつけられている。

しかもウクライナのものにも似たような国旗まである。

https://en.wikipedia.org/wiki/Flag_of_Hazaristan

こういうことは、私も今回色々英語圏の情報を調べていて分かった。

4000万人ほどの人口を持つアフガニスタンにおいて、ハザーラ人は全体で800万人もいるとされている。これはかなり多い。そしてアフガニスタン=パキスタンみたいな人種と思われているが、こんなにも多くのモンゴロイド系の人たちが住んでいる事実をおそらくほとんどの日本人は知らないのではないだろうか。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Hazaras

パキスタンにも65-90万人いるのでパキスタンでは少数派。でもアフガニスタンでは三番目に多い民族なので事情は異なる。アフガニスタンのパシュトゥーン人から見れば恐怖なのかもしれない。そんなハザーラ人が集まる都市がバーミヤン(50万都市)。バーミヤンといえばタリバンによって古代遺跡群が破壊(2001年)されたことで有名。

ここを中心にアフガニスタンには800万人のハザーラ人が散らばっていると言われ、つまり外国勢力がハザーラ人に武器を渡してトレーニングさせれば、バーミヤン付近にハザリスタンという国ができてもおかしくない。といえば大げさだけれども、タリバンから見れば放っては置けないそういう存在なのかもしれない。

ちなみに、ハザラはペルシア語で1000の意味であり、ハザラジャという中部の高地にアフガニスタンのリーダーが全部集めて以降、ここにハザーラ人が集まって住んでいると言われている。

ちなみにバーミヤンが破壊される前から、ハザーラ人とパシュトゥーン人の確執はあったようだ。例えば、1933年に、ムハンマド・ナーディル・シャー(アフガニスタン王)はハザーラ人のアブドゥル・ハリクによって暗殺されている。

つまりここでは割愛するけれども、現地の人しか知らないレベルの確執があるのではないだろうか。私もまだまだ勉強不足だけれども、かなり深いレベルの歴史があり、アフガニスタンに行ったこともない私には語れない部分も多いのかもしれない。

そういうこともあってか、ハザーラ人女性の間では合気道や空手などの武術が盛んなのだとか。クルド人なんかもそうだけどその国で差別対象、迫害されている民族の女性は強い。

こういうハザーラ人に対する迫害は、日本語圏ではテレビではおろか、YouTube動画でもアフガニスタン関連の動画でも全然出てこない。BBCや、ドイツのDWなどでは細かく報じているが。「hazara people」と検索するだけでそういった迫害系の記事が英語で出てくる。それも最近の動画なのである。私も正直、この記事を書くまではそこまで目がいけいなかったので衝撃。

色々調べてみると、新憲法が制定されるまで、ハザーラ人は公務員などにもなれないなど差別されてきたので、今回の件でタリバン政権に戻ればまた彼らの地位が危うくなるのは確実とも言われている。おそらくハザーラ人も人口が多いので、とことん戦おうという姿勢を見せる可能性もあるような気がする・・。




⑥アフガニスタンは多様な人種の宝庫

最後に、メインの人種の話に戻そう。

アフガニスタンと言えば中東系などのような、濃い顔のイメージがあると思うけれども、以前も紹介したように、青い瞳の人たちもいる。これは意外と知られていないのか何年経ってもこの記事は読まれ続けている。

「なぜ「アフガニスタン人」や「イラン人」「クルド人」の瞳の色はブルーやグリーンなのか?【海外の反応】」

また、先日のタリバンの記者会見なんか見ても、メンバーが皆髭をはやしたり、同じような民族衣装を着ているせいか、注目しなかった人も多いかもしれないが、この二人の顔では全く違う系統であるということは明らかなのである。

左側がややインド人に近く、右側がモンゴル系が入っている感じ。これは明らかだ。気づいた人は気づいたと思うのだけど、モスクワで何人もの中央アジア人を見てきている私にとって、右側の男性は中央アジアにもいるような系統の顔にしか見えないのだ。

tlb2

このメンバー、髭を全部取って、眉毛も日本人っぽくして、普通に歩いていたら、日本人に見えないこともない。鼻がやや高いけど。そう思わないだろうか。(笑)顔というよりも目元。東アジア系の人たちのように、目の彫が深くない。

アフガニスタンにはこういう、パシュトゥーン人だけれども、モンゴル帝国時代の名残、そしてハザーラ人の影響でミックスされたような人種が多いのではないか?と見ている。そしてこの顔はやはりアフガニスタンよりの顔なのだけれども、私が好きなキルギスというよりもウズベキスタンにもいそうな顔立ちにも思える。

「住んでみて分かった「キルギス人」の外見(ハプロ)と、性格・気質 TOP5」

そして何よりも面白いのが、こういう平井堅っぽい。顔の人もいる。という点だろうか。よく、平井堅や阿部寛のような縄文系が強い顔が、中東顔やイタリア顔などと言われるが、確かにいたとしてもものすごく少数派。私からすればインド北部、パキスタン、中央アジアのほうが、少ないにしても遭遇率は高いように思う。

その証拠に、以前パキスタンのイケメンをネットで調査して記事にしたところ、やはり、ダルビッシュ、長瀬智也、ガクトのような、日本ではあまり見ない顔立ちなのだけど、日本人からみてもイケメンと取れる有名人が多いということが分かったのである。

パキスタンといえばアフガニスタンのすぐ隣であり、同じパシュトゥーン人を共有している上、モンゴル帝国の影響も受けて、多少なりともモンゴロイド化している人もいると考えれば、納得がいく・・。

「日本人の濃い系男子に近いかも。パキスタンのイケメン TOP10」




⑦最後に

ものすごくまとまりのない記事になってしまったが、これで少しはアフガニスタンに親近感を持ってもらえたのではないだろうか。いかにモンゴル人があの時代に、色んな所に散らばったんだなと思ったりもね。それは今はおそロシアと言われている国の首都、モスクワにまで到達した時代があったくらい。

「ロシアの黒歴史「ジョチ・ウルス」と、モンゴルのロシア支配でアジア人男子がモテると思う理由」

ちなみに、ファールシー語、ダリー語、タジク語。これらを合わせてペルシア語という。イランで使用されてるファールシー語がペルシア語と呼ばれることもあるが、これらはほぼ方言レベルで通じると言われており、私の3ヶ月限定レッスンでは、このペルシア語も入っている。応募したい方は是非、今がチャンスかもしれません。→この記事でくらいしか宣伝していないので。

ペルシア語を学びたい人は是非、ご連絡を。以下、私のイメージがわかるようにペルシア語の自己紹介も含めた動画をリンクさせておく。

ペルシア語を勉強するメリットは、ありません!(YouTube動画)

ちなみに、以下ペルシア語で公開されていたハザラ人の動画も。。

https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=GB-jKzTrLSk




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