ロシア語(スラブ系言語)

日本人も「スラブ人」に見下されてる?ロシア語圏(中央アジア・極東シベリア含む)における人種のヒエラルキー

2019年8月3日

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日本人も「スラブ人」に見下されてる?ロシア語圏(中央アジア・極東シベリア含む)における人種のヒエラルキー

2019年8月3日


ニューヨークやロンドンなどに行ったものなら分かるだろう。東南アジアでは「日本人はTOPだぜぃ♪」だと思っていたはずが、いきなり周りからの目線は、見下げられているような、他のアジアンと一緒にされているような、不思議な感覚。

有色人種の中では唯一のG7に入っている国から来た「アタピ日本人だもん」は白人国家では通用しないことが多いということは以下でも書いた。

「日本人は海外でナメられてる?パリで行われている中国人狩りにみる、白人が思うアジア人のイメージ」

で、以前NYに滞在していた時現地に長く住む日本人から聞いた一言に衝撃を受けたことがある。そのときはまだ白人国家に行き始めて間もない頃だったのでね…。

彼が言った一言とは、

白人>黒人>ヒスパニック>アジアンという序列である。つまりアジア人である日本人がNYで暮らしていくことはリッチでもない限り、かなり難しいのだよ。ということ。

日本人は日本人と思っていた私が、西洋では日本人=東南アジア人などのアジアンと一緒くたにされていることには驚きを隠せなかった。

「典型的なアジア人ってどんな感じ?日本人もアジア人?【アメリカの反応】」

これって人種によるヒエラルキーだけれども、差別的な意味ではなく、私的にはその人種の人口に比例すると思っている。例えばNYではアジア人よりも黒人のほうが多いのでアジア人は黒人よりも下に見えることが多く、カナダ最大の都市トロントではアジア系は人口の25%以上まで上がり黒人が少ないので、黒人が下に見えてしまうという不思議な現象だ。

でこの記事では、ヨーロッパ最大の都市圏人口を抱えるモスクワにおける人種のヒエラルキーをメインに書いて、ロシア語圏の部分について触れたい。

私は現在キルギスに暮らしていて、モスクワで数年働いた英語もロシア語も堪能ないくつかのキルギス人にその実情を聞いてみた。

まさに私が聞いてきたことと似ていたりしていて、記事にしなきゃ!って思ったのね…。

ちなみにキルギスというのは、1人当たりのGDPが11万円とアフリカのタンザニアなどと同じ水準ではあるが、私が住んでいるビシュケクは1人当たりのGDPが、40万円程度で都市の中心部はリッチな層が多く暮らしているので、年収1000万円以上の人たちが日本のレクサスを乗り回しているような、東南アジアのそこそこの都市と変わらないくらい発展している。

そんなロシア人からみても、自分より下。と思っているキルギス人から聞いた話なので、かなり面白いかも。ではでは始めよう('ω')ノ

 

①欧米人には見下げられるロシア人も、モスクワでは頂点

白人の世界におけるロシア人というのは、東アジアの世界でイメージする北方系中国人のイメージだということは以前も書いたことがある。

「欧米人がロシア人やアルゼンチン人を見下す理由は、日本人を見下す理由とは少し違う?」

つまり美女が多く、顔の彫が浅い人が多い。また少し貧しい田舎っぽいイメージもある。男性は野暮ったいイメージがあり、女性は純粋なイメージがある。と言えばだいたい間違ってはいないだろう。

つまり外見的な見下しはしないが、洗練されていない、GDPが自分たちより低い、考え方において進んでいない。みたいなそういうイメージがあると思う。

そんなロシア人も、当たり前だが首都モスクワではヒエラルキーのTOPである。けど、ロシア人というよりも、スラブ系と言ったほうがいいかもしれない。

以下の地図は、POCCNRの部分がロシア、そしてポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、チェコなどロシア語と同じ、スラブ語派言語を使っている国を青色にしていて、

南スラヴ語系に当たる、スロベニア、クロアチア、モンテネグロ、セルビア、北マケドニア、ブルガリアなどの部分を茶色で表している。

その中でも、ベラルーシ語や、ウクライナ語といった言語がロシア語にもっとも近く、プーチン大統領が、

ロシア人とウクライナ人は「一つの民族」であり、「共通の国籍」を持つことによって利益を得ると発言した。

ことからも分かるように、多くのスラブ系ロシア人はウクライナ人などと同系の民族だと思っている。そもそも、現在のロシア語は現在のウクライナのキエフあたりから来たともいわれており、日本人がイメージする関西がまさにキエフ都市圏に当てはまる。

プーチン氏、ロシア人とウクライナ人に「共通の国籍を」

一方、私の友達のキルギス人なんかは容姿がアジア人なので自分たちがアジア系というのに対して、ロシア人(いろんな民族がいる)の中でも多数派を占めるロシア人のことをスラブ系と呼んでいた。

で、キルギスやカザフでは今もなお、ニュース、新聞、高等教育でロシア語が使われており、彼らが就職する先も、自国よりも1人当たりのGDPが高いロシアの場合が多い。

なのでモスクワに出稼ぎに行くこともあるので、彼らにとってロシア語が通じるという意味ではスラブ系のロシア人も仲間のように見えるのだが、このように同じ言語を話す人たちであっても、人種のヒエラルキーによって隔離されている部分もあるので、これがまた面白いよね…。

で、モスクワには1200万人、郊外もあわせると1600万人もいると言われている。





 

順位民族人口%
1ロシア9,930,41091.6
2ウクライナ154,1041.4
3タタール149,0431.4
4アルメニア106,4661
5アゼルバイジャン57,1230.5
6ユダヤ53,1450.5
7ベラルーシ39,2250.4
8ジョージア38,9340.4
9ウズベク35,5950.3
10タジク27,2800.2
11モルドバ21,6990.2
12チェルケス16,2350.2
13チェチェン14,5240.1
14チュヴァシ14,3130.1
15オセチア11,3110.1
16高麗9,7830.1
17カザフ9,3930.1
18バシキール6,6090.1
19中国3,2220.03
20ベトナム系2,9700.03

https://en.wikipedia.org/wiki/Ethnic_groups_in_Moscow

現在モスクワにはこれだけの色んな種類の人たちが暮らしている。中にはロシア国籍を持っている人も多く、ロシア人ではあるけど、ベラルーシ系、カザフ系というのは当たり前。

高麗人のように姿形は韓国人の人たちだっている。ここが日本と違うところだよね。

「顔は韓国人なのにロシア語しか話せない?ロシアに暮らす【高麗人】の生活と、結婚式に密着!【海外の反応】」

モスクワと言えばロシア人しかいないイメージが強いかもしれないが、NYやロンドン、パリのように超国際都市であるということはあまり知られていない。

で、ちょっと冗長になってしまったが、やはりスラブ系のロシア人はモスクワではTOPに君臨するということになる。

②中央アジア・シベリアなど

人種のヒエラルキーの一番下に来るのがやはりアジア人なのである。と思っていないだろうか。そう我々日本人と同じ顔をした高麗人、ヤクート人、中央アジアのキルギス人やカザフ人などがスラブ系の白人が90%ほどを占めるモスクワでは下位となるはずである。

これは日本の田舎などで、白人の転校生がやってきて仲間に入れてもらえないとか、「クセェ」などといじめられる感覚と少し似ているかもしれない。つまり少数派はどこの国でも大概嫌がられるというか、不快に思われる場合が多いのだと思う。

けれども面白いのは、シベリアにはサハ共和国というロシア連邦最大の面積を誇る共和国があるのだが、ここの1人当たりの購買力は、モスクワ(740万円)よりも、サハ共和国(985万円)のほうが高いという事実もある。

「イケメンや美女も多い?ロシアのヤクート人(サハ共和国)やチュクチ人は、日本人はなぜ似ている?」

ロシアは非常に貧富の差が激しいエリアで、ネネツ自治管区(2937万円)という北欧のどの国も、中東の産油国の何倍も購買力のあるエリアから、チェチェン共和国(62万円)というような購買力が低いエリアまで非常に差がある。→チェチェン=ロシアの1人当たりのGDP(113万円)の半分くらい。

で、最近世界全体において、アジア人が豊になってきていること、そして東アジアはまさに日本、韓国、中国などの大都市を中心に富裕層も多く、収入が高いイメージがあるので、ロシア国内でもアジア人の外見をした人よりも、以下に語るチェチェン人などのほうが、下位に見られているのではないか。と私は考えている。→次回ソースなどを探してみますね。

とはいっても、アジア系の容姿がゆえに差別を受けることも多いと以下の記事で書かれていた。

"У вас азиатская наружность". Как этнический кореец защищает в Москве мигрантов от полиции

 

③コーカサス地方

コーカサス地方と言えば、モスクワ側のロシアとサウジアラビアなどのアラビア半島に挟まれた微妙な場所である。ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンなどロシアに属さない国々が、南コーカサスと呼ばれ、その北側に位置する、ロシア連邦に組み込まれているエリアが、北コーカサスと呼ばれている。

アディゲ共和国、カラチャイ・チェルケス共和国、カバルダ・バルカル共和国、北オセチア共和国、イングーシ共和国、チェチェン共和国、ダゲスタン共和国

などの非常に小さい国々が集い、今もなおロシア連邦。つまりソビエト連邦が崩壊するときに独立しなかった国々である。

この辺は、上にも書いたが1人当たりのGDPがロシア連邦内でも低く、貧困のイメージがかなり強い。(下の写真はチェチェン人の写真)




www.rusfact.ru/node/6695

つまりモスクワに出稼ぎに行き、一番下っ端の仕事をしたりする場合が多いことからも、ヒエラルキーとしては、一番下に来るのではないか。(また犯罪者や過激なイメージもある)

と私は推測。

また現在ロシアではないが、南コーカサス地方の3ヵ国は、1人当たりのGDPが、どの国々も40万円程度で、北コーカサス地方とあまり変わらない。

順位国名GDP
1アゼルバイジャン    45万円
2ジョージア            44万円
3アルメニア            41万円

けれどもロシア連邦ではないということや、ジョージアに関しては1年ビザフリー、アルメニアに関しても、6カ月免除ということをやっているので、私のようにネットの収入によって生活している人には非常にお勧めと言える。

「黒海とカスピ海に挟まれた「コーカサス地方」(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)の言語、経済、人種、物価の比較 TOP7」

そんな私は2020年4月時点でジョージアに住んでいる。面白いことに、ジョージアでは日本人は皆中国人と見なされ、それ以前に、東洋人は外見的に少し見下されている感じがある。

「EU入りを目指している?小国「ジョージア」が注目されている理由と、生活してみて感じたこと」

1人当たりのGDPたったの40万円の国の人たちにだよぉ~!?

 

④日本人や韓国人の場合、少し事情は変わる

日本人は残念ながら「中央アジア・極東シベリア」に住むアジア系の人たちと間違われる。ましてやモスクワに住む中国人にも間違われているきらいがある。

けれどもキルギス人の話によると、もしロシア人が日本人だと分かったら、いきなり態度が変わるということだ。上に見るそう。

私は実際これをカザフやキルギスで何度も経験した。特にタクシーに乗っているとき。彼らは日本人がこの街に来るとは思っていないので、私はいつも中国人に間違われていたが、日本人だと言うと、最初は疑ってきたりするが、本当だと分かるといきなり態度が変わる。

中国人だと思われていた時は、上から目線というか、お前なんか信じねぇよ。嘘つきだろキタイ(ロシア語で中国人の意味)。みたいな態度だったのに対して、日本人というといっきに安心され、車の話や技術の話に変わる。

そしていかに日本が凄いかを語り始めるのである。

ちなみにカザフでもキルギスでも、若くてアジア人寄りの顔の人たちはよく東アジアのエンターテインメントを見ているので、私を見た瞬間、日本人か韓国人だな、と気づく。

特に高麗人など、もともと北東アジアからやってきた人種は、かなりの確率でこちらを凝視してくる。何だろう、同じ匂いがするみたいな。そういう感覚。があって、中央アジアを歩いているとかなり楽しい('ω')ノ

ちなみに韓国人もロシア人からすると一応上に見られるはずである。なぜなら1人当たりのGDPで考えたとき、ロシア人(113万円)と韓国人(313万円)はやはり違いすぎるからだ。

とはいっても、これだけ1人当たりのGDPに開きはあっても、モスクワの中心部には富裕層が非常に多いので、日本人だから、韓国人だからといって無条件に上に見られるわけでもない。ということは覚えておくべきだろう。

私はこれをインドネシア第二の都市、スラバヤでものすごく感じた。中華系の富裕層はめっちゃお金もってるからね…( ゚Д゚)

「ヒエラルキーの頂点?差別され、虐殺され、インドネシアで怯えながら暮らす華人・華僑「中華系インドネシア人」に関する疑問 TOP10」

 

⑤中央アジア・シベリアでのヒエラルキー

と、ここまでロシア国内(モスクワを中心としたヨーロッパロシア)での人種のヒエラルキーを書いてみたが、現在私が住んでいるキルギスや、その前に滞在していたカザフスタン、韓国在住時に数日間行ってきたウラジオストクで感じたり、聞いたりしたことを以下に書いてみる。

キルギスはソビエトから1991年8月31日に独立、同年12月10日にはカザフも独立した。そして、12月25日にはソ連崩壊。

キルギスのビシュケクも、カザフのアルマトイもこの時点(1990年代)でロシア系の人口が70%であった。それが現在は逆転し、ビシュケクはキルギス系が70%になっていて、アルマトイはカザフ系が70%となっている。

つまり、ここ数年で中央アジアの大都市における人種のヒエラルキーは大きく変わったのだ。キルギス人の友達から聞いたところによると、もともと中央アジアはキルギスやカザフなどの遊牧民が暮らす土地だったが、アルマトイやビシュケクといった大都市を作りそこに遊牧民なども定住するようになり、多くのロシア系も押し寄せてきた。(当時のロシアにおける南下政策

※ロシアは朝鮮半島だけでなく、あのイランにまで南下政策を進めていたからね…。以下にも書いたけど。

「エンペラーは日本だけではなかった。イランに「皇帝」が存在していた理由と、廃止されてしまった理由」

で話は戻ってキルギス人は肉体労働系は得意。とされ、のちに入植してきたロシア系に見下されていた。という話も。

これは北海道で言えば地元のアイヌ人が和人によって肉体労働をさせれていた力関係に非常に似ている。

またビシュケクの都市部にはロシア人が非常に多いのに対して、ビシュケクではない田舎の地方都市にはロシア語が話せないキルギス語しか話せないキルギス人が多く、彼らの収入は非常に低いゆえ、いまだにアラ・カチューという誘拐婚も行われている。

「世界の奇習、迷信、不思議な民族 TOP10」

つまりキルギスの中でも、都市部と地方では国が違うのか。と思うくらいの格差が存在する。そしてロシア系はほぼ都市部に住んでいる。(事実上、ビシュケクは皆ロシア語が話せる)

アメリカでも、白人と黒人の間にはIQの違いがあるというが、そういう類の話に近いのかもしれないと思った。

「人種、国家間における知能指数「IQ」格差と、「IQ」「EQ」の違い」

つまりロシア人は頭脳が強く、キルギス人などは頭脳が弱い。という迷信みたいなのがあるのかなと。(上にも書いたが、和人とアイヌの関係にそっくり)

けどむしろ私がキルギスで出会ったキルギス人は英語が堪能であり国際情勢にも精通しており、私が日本で出会う日本人よりも頭が良い。もちろん彼らはまさにそのキルギスにいる1%の人たちだと思うのだけどね。

けど、来て分かることは来る前に感じていた「キルギス人=貧しくて素朴なイメージ」とは違い、彼らは日本を始め世界情勢のことに良く精通しており、彼らから私も多くのことを学んでいるので、不思議な気がしてたまらない。

少なくてもロシア語がネイティブのキルギス人は英語を学ぶと日本人よりも平均的にうまいのではないか。と思ったりもしている。(同じ言語系統なので)

「欧州なのに「インド・ヨーロッパ語族」には属さない異端の「ウラル語族」と日本語の関係」

また、なぜか彼らの多くは独特なキルギス訛りみたいなのがない。のも不思議。カザフには訛りのある人が多かった気がするけど。国が小さいからドルや英語に従順なため、非常に熱心に英語を習得している可能性も高い。

と、ちょっと脱線してしまったが、ここ中央アジアにおいて、アルマトイ(カザフ)では白人とカザフがミックスした感じが、ヒエラルキー的には一番上の存在かな。と思えた(外見的な意味で)

一方キルギスは、ミックスではなく、モンゴル系の顔をした人の割合が多いので、その人たちが美の基準としてはヒエラルキーの上にいるように思えた。

実際に、キルギス人いわくキルギス人の多くが北東アジア系の外見が好きで、ロシア人などのコーカソイドとはミックスしたくない模様。なので日本人がキルギス語とかしっかり学べば、モテるかもよぉ~('ω')ノ

最後にウラジオストクに関して言えば、日本人が歩いていると、必ず日本か韓国からきた人種だとバレる。ウラジオストク人口のほとんどが白人で、女性は顔が小さく、スタイルもよく、モデル体型の人もやはり多く、思った以上にファッショナブルな街だったが、

「日本人も韓国人のようにロシア極東「ウラジオストク」と「ハバロフスク」に行くべき理由 TOP10」

彼らがこちらのことを日本人だと分かると、その瞬間、自分たちのほうがお金持っていない。というような態度になる。ロシア人の1人当たりのGDPと日本人との間には差があるため。

またウラジオは北東アジアにポツんとある白人都市なので、そういう地政学的な部分も影響しているのかも。

つまり、外見の面で言えば、あちら側のほうが上だと思っているが、富のヒエラルキーで言えば、彼らは平均的な日本人を上に見ているのではないか。とウラジオストクの滞在で感じた。

でもウラジオは北東アジアにポツンとありながらも、まるでヨーロッパの飛び地かのようにアジアにいることを忘れてしまうほど、行く価値のある場所だってことは言っておくね…。これは動画などで見てきたウラジオと行ってみたのとでは全く違って非常に面白かった。


Reference
List of countries by GDP (nominal) per capita
List of federal subjects of Russia by GDP per capita

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