フランス人は王政復古に賛成?貴族制度が廃止された今も残る、フランス貴族の末裔とその生活



王族や貴族と言えば、真っ先に思い浮かぶ国はイギリスだろうか。確かにフランスには王室がかつてあり、フランス革命(1789年)によって、ルイ16世は1793年に処刑された。王族、日本で言えば皇族になるのだけれども、それらと貴族の繋がりは、ここでは割愛するにしても、これらもまた切っては切れない関係となっている。

それは現在のイギリスにおける王族と貴族の関係からも分かる。

「現存する英国(イングランド・アイルランド・スコットランド)貴族の頂点、公爵 TOP30」

この記事では英語圏でも話題になっていた、フランスにはまだ貴族がいるのか。という話題を掘り下げたものをご紹介していきたいと思う。

というのも多くの人が義務教育で、フランス革命で、多くの王族や貴族が処刑(ギロチン)され、現在はいないと思っているからだ。

そrは日本人だけでなく、海外でも皆同じようにフランスには貴族がいないと思っている人も多い。

確かに私が色々検索をかけてみても、イギリスの貴族などの情報はすぐに検索できたのに対して、フランスの貴族はあまりいなかった。

ということもあってか、より調べたくなったのだ。では、はじめよう('ω')ノ



①フランスにいまだに残る貴族と、その生活ぶり

2016年にBBCの記事で、なぜフランスの貴族はいなくならないか。という特集があった。この記事の内容をざっくり分かりやすくまとめると、フランスの貴族は21世になる今も耐え続け、繁栄しているという。

Why France's aristocracy hasn't gone away(BBC)

今日、自分自身を貴族と名乗ることのできる貴族は、4000(一族)もいると考えられ、フランス革命以前の12000(一族)よりは少なくなったものの、その一族というのも非常に広いので、推定で1780年代と同じくらいの10万人ほどの貴族はいるのではないか。と言われている。

つまり以前よりも貴族の人口は増えているという。

とはいっても、皆がパリの中心部にある一等地に建てられた豪邸に住んでいるわけではなく一部の人たちは、金融や産業界のキャプテンとして、富と影響力を保持している。

例えば、2016年までアクサ(フランスの保険・金融グループ)のCEOだった
アンリ・ド・カストリーズや、ミシュラン(タイヤメーカー)でCEOだった後に、ルノーのCEOになったジャン・ドミニク・セナールという人たちが典型的な例だ。



※大阪サミット(2019年)開催の前に日本を訪れていたジャン・ドミニク・セナール。

このように、表舞台に立つ貴族はそれほど多くないとされるが、目立たないだけでかなり多いのかもしれない。とはいっても、多くの貴族はパリ中心部から遠く離れた場所で、質素な生活を送っている。多くの場合、古い邸宅や、維持費が負担となるシャトー(城)でひっそり暮らしている。

※シャトーは昔建てられたものなので定期的に修繕の必要がある。

例えば、12世紀にまで遡るドヴォーグ家で、フランス中部のベリー地方に住む、アルバート・ド・ヴォーグは、現在80代で一人暮らししている。

働いていた時期は農業や村長をしていたこともあり、現在は子供と孫も週末に遊びに来るような生活を送っているという。また地元の貴族ではない人たちとの繋がりも非常に強く、15年間も村長をしていたこともあったそう。

彼に自分自身が貴族であることについてどう思うか。と尋ねると以下のように語ったそう。

私は自分が貴族出身であることの栄光を引き出すつもりはないし、だからと言って貴族出身であることを恥ずべきことだとも思っていない。しかし、我々の子孫がベリーにある我々の遺産を受け継ぐ義務があるということは強く思う。

また彼の子供や孫は、自分たちの先祖について誇りに思っているという。先祖はカトリックで、貴族特有の誰にも分からないように他者へ親切にすること、また他者へ寛容であることが重要と教えてきたそう。

まさにノブレス・オブリージュ(貴族の義務)→富むものが貧しいものに対して慈悲を施すということなのだろう。

現在のフランスは、まさに王族や貴族に反抗する一般庶民によって、フランス革命後に成立した国であり、貴族に法的な権限はない。領主カースト的な考えは、現在のフランス的な精神に反する。その結果、現存する貴族の多くが、控え目であることを学ぶようになったという。

つまり、推定10万人ほどもいるかもしれない貴族の末裔は、以下の会議に出席するような膨大な富を有するものもいれば、ドヴォーグ家のように、小さな村で地元の人たちとうまく繋がって質素に生きている人もいるという事だ。

「日本人の参加が拒否された裏のサミット「ビルダーバーグ会議」と、「三極委員会」の違い」


③貴族に対するフランス人の反応

2018年、フランス24の英語版で、現存するフランスの貴族に対する特集が組まれていた。以下の動画では、パリ郊外の17世紀に建てられたクルソン城の物件を紹介している。

今でもこのようなシャトー(城)に住む者がいて、このような生活を送っているというのが分かるような映像になっている。

French and noble in 2018: What remains of France's aristocracy?


以下、フランス人の反応

■+2560
貴族の存在は消えたのではなく、彼らはただ匿名になって目立たなくなっているだけだ

■+815
現在は貴族は、CEOや、政治家たちに取って代わっている。とはいっても、貴族とは世代を継いでいかなければならないので、ほとんどの政治家やCEOは子どもたちが同じ仕事をするとは限らない点で言えば違う。

■+516
もしフランス革命時、ギロチンにされていない貴族がいたとしたら、それらの多くはヨーロッパ、特にイギリスやケベック州(カナダ)に逃げ、イギリスの親戚と優雅な暮らしをしたんだろうな。

■+1501
17000あったフランスの貴族のうち、2800家族はフランス革命時に生き残っていたらしい。

+304
私の家庭は貴族でしたが、第二次世界大戦後、共産主義政権が盛り上がってきて、私たちは称号を失い、豪邸も破壊された。その代わり、そこに高層ビルが建てられたね。


④貧富の差が激しいフランスにおける嫉妬

日本とフランスは歴史的背景が随分違うので、フランス国民が王室に対するイメージと日本国民が皇室に対するイメージは随分違っているかもしれない。

例えば、パリでは黄色いベスト運動(2018年11月17日から発生している政府への抗議活動)がいまだに消えていない。

これは日本でカルロスゴーンが逮捕された際も、喜んだのはフランス人だったという話さえあることからもわかるように、フランス人は富を持つものに対しての嫉妬というか、反抗が日本よりも強いのかもしれない。

それはフランス革命に王室、貴族の関係者がギロチンにされ殺されたことからも分かるように、フランス人のこの部分の歴史を知ることは彼らのアイデンティティを知る上で非常に重要なのかもしれない。

ということもあって、たとえ貴族であっても、私は貴族であると自信を持って言うと、叩かれるので、イギリスよりもあまり表にでてこないのかもしれない…。

ちなみに度々陰謀論に登場するロスチャイルドはもともと貴族ではないところから、現在は貴族の称号を得ている。

「ロスチャイルドの五家(フランクフルト、ウィーン、ロンドン、ナポリ、パリ)と、その末裔たちの現在」

例えば、ダヴィド・ド・ロチルドはパリ・ロスチャイルド家嫡流の第5代当主だけれども、彼は男爵(Baron)の称号を持っている。

けれども、これは神聖ローマ帝国時に与えられたもので、パリの貴族というわけではない。このように神聖ローマ帝国時代の称号を今も持ち続け、その子供に貴族を継がせている人は結構多い。

例えば、現在王室のないオーストリアにおけるハプスブルク家など。

「ハプスブルク家、ブルボン家、ザクセン=コーブルク=ゴータ家、ロマノフ家、ホーエンツォレルン家。現在もヨーロッパに存在する貴族の末裔たち」




⑤現在のフランス人は、王政復古に賛成?

フランス革命という、王族や貴族などに対して反抗することがフランスのアイデンティティともなっている現在のフランス。

とはいっても、フランスのブルボン家は現在スペインの王室になってしまっているし、イギリスやデンマーク、オランダ、スウェーデンなどの王室のある国々は、皆一緒に集まることがある中、フランスには、王室がなくなったので、以下のようなジュビリーにも招待されない。

「エリザベス女王が天皇陛下と握手する際に、自ら一歩踏み出す理由」

数百年経った今、そんなフランス人は王政復古に賛成なのか?ということが気になったので、以下調べてみた。

フランスでは君主制を復活するという概念はどのくらい一般的ですか?」という以下3つの貴重な意見をご紹介する。

How popular is the notion of restoring a French monarchy?


■クリスチャン・アーノルドさん

現在はそのような概念はあまりないかな。とはいっても君主制に戻るチャンスがないとも言えないけれども。

まず多くのフランス人は、現在の憲法(フランス第五共和政)でなされた取り決めが社会のニーズに対応していないと考え始めてきている。

フランスでは、仮想的な第六共和政の概要を定義するための対話が開始されている。第六共和政に移行すると、これまで第五共和政で大統領が持っていたほとんどの政治的権力が剥奪され、国家を統治する権限が首相の手に直接委ねられる。

首相が国を統治する権限を持つと、その上に大統領を置くか、君主として国王や女王を置くことが一般的である。なので、現在の政権への不満が続けば、第六共和政に移動した場合はその可能性がないとも言えない。

■アレクサンダー・ファロウズさん
これらの質問に対する一番の問題は、量で表すことができない点なんだ。どのくらい王政の復活に人気があるのか?ということについては、私の手元に世論調査的な資料はないが、一つ言えるのは、それほど人気がないということだ。

それが政府のタイプになると-関与する民主主義がある限り-無関心は世論を支配します。 民主主義がなければ、嫌悪感があります。 しかし、ほとんどの人は、王、皇帝、または大統領がいるかどうかは気にしません。

政府型に関して言うと、民主主義がある限り、多くの国民は無関心であるだろう。もし民主主義がなければ、当然皆嫌悪感を持つだろう。とはいっても、多くの人は、フランスのトップが大統領だろうが、皇帝だろうが、国王だろうがさほど気にしないだろう。

燃料価格が低く抑えられ、ヘルスケアが無料で、治安が良く、課税で圧迫されないままで、政府が国民に対して気遣い続けることができ、政治に対して国民が参加でき選択肢があると感じれば、国民は満足するだろう。

いずれにしても多くの国民は関心がない。もしフランスの君主制を回復するのであれば、今よりもっと世話をする人のほうを多く必要とし、それは事実上不可能である。

■ハンター・ヘイリー
フランス人は圧倒的に王政復古に反対だが、このような構想・概念は多くの人が思っているよりも人気があると思う。

例えば、BVA(フランスにある投票調査会社)は、この話題について二つの調査を行った。一つ目の調査は、2007年にフランス・ソワール(フランスのオンライン日刊新聞)で行われたもの。

もう一つは、2016年にアライアンス・ロワイヤル(フランスに王室を復活させようと考える政党)のものである。

で、両方の調査で、フランス人人口の17%がフランスにもう一度国王(君主)を持つことに対して「とても賛成」「むしろ賛成」だったのである。

また、もう一つの調査では、この17%の賛成者の27%が、共和党(LR)で、37%が国民戦線(FN)であった。

How popular is the notion of restoring a French monarchy?

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