王室・皇室・国際政治

エリザベス女王が、天皇よりも世界的に有名な理由と、ムハンマドの子孫説の真実【海外の反応】

2017年6月12日

  1. HOME >
  2. 王室・皇室・国際政治 >

エリザベス女王が、天皇よりも世界的に有名な理由と、ムハンマドの子孫説の真実【海外の反応】

2017年6月12日



よくネット上では天皇とエリザベス女王はどちらが上座に座るとか、どちらが世界的に有名なの。という書き込みを見る。そのたびに、天皇はローマ法王と同等、それ以上。のような書き込みを見る。その根拠が、Emperor という称号が、King / Queen よりも上だからとか、日本の皇室が世界にある王室(皇室含む)で、一番古いからなど、色々な説明もされている。

けれども、Emperor という英語名は、本来皇帝という意味であり、現在の天皇は植民地を持つような帝国主義的な性格の皇帝ではない。むしろ、国の象徴としての皇帝であり、どう考えても称号的に、King / Queen よりも格上になるというふうにはならないのだ。

それは以下でも説明した。(ユーチューブなどで記事が丸ごとコピペされ拡散されたが…)

「エリザベス女王が天皇陛下と握手する際に、自ら一歩踏み出す理由」

そもそも、天皇家は世界では注目されていない。とはいっても、一般人に注目されていないというだけで、世界の要人、特にヨーロッパの王室や、アジア各国の首脳、またロイヤルファミリーなどを重んじる層の人たちは、天皇の動向に注目するが、エリザベス女王ほどの注目は全くない。


ましてや、お隣韓国でさえ、日本に天皇がいたなんて知らなかった…。戦後、もういなくなっていたのかと思っていた。と思っている若者さえいたくらいなので…。

「なぜ日王(日本の天皇)は韓国をご訪問されないのですか?【韓国の反応】」

このように思っている若者は、韓国に限らず、世界中に結構多い。私は記事を翻訳する中で、そういうコメントを沢山見てきた。

そんな中、英語圏では天皇に関する関心は低いけれども、いくつか反応を探ってみると、とても面白いスレッドを見つけた。

そのタイトルが、まさに私が今書いているこの記事のタイトルにもなっている、「なぜ英国のエリザベス女王は、日本の天皇よりも世界的に有名なのですか?」なのだけれども、この解説がまた面白い。

このスレッドを紹介することや、天皇とエリザベスを様々な角度から比較、そして、エリザベス女王がムハンマドの子孫だと言われている説なども以下で解説していきたいと思う。

①在位数の長さを比較

まず、称号(タイトル)以上に重要視される在位数の長さを以下に書いていきたいと思う。以下の記事でも書いたことがあるが、

「エリザベス女王の次は誰?英国における王位継承順位」

在位数の前に、まず年齢を比較してみよう。以下は日本でよく比較される権威者、エリザベス女王女王、天皇、ローマ教皇などを年齢順にまとめたもの。

 

権力者生年月日
エリザベス女王2世1926年04月21日
天皇=明仁=平成天皇1933年12月23日
ローマ教皇(フランシスコ)1936年12月17日

 
というように、エリザベス女王2世は今上天皇よりも、7歳年上であることが分かる。国のトップという立場を除いた場合、普通年上に対して尊敬的な態度をとる日本人なので、天皇がエリザベス女王を尊敬する立場であっても、なんらおかしくはない。

また、エリザベス女王2世は、1953年に戴冠しているので、在位数が長かった昭和天皇と比較しても、在位年数では天皇を超えてしまっている。(ここがポイント)

 

天皇または女王在位数
昭和天皇63年
平成天皇31年
エリザベス女王2世66年(2019年現在)

また、昔を知らない人はイメージしづらいかもしれないが、今上天皇が皇太子時代から、エリザベスは女王だった。

つまり、天皇が皇太子時代に、皇太子としてイギリスに訪問した際に、エリザベス女王と会っている。これは、称号的なヒエラルキーから言えば、まさに皇太子が女王陛下に謁見するという感じ…。

で、話は在位数に戻して、世界でも最も長かったとされ、2016年まで在位されていたタイのラーマ9世(プミポン国王)は、1946年-2016年まで在位していたので、エリザベス女王2世よりも長い、70年間も国王の地位であり続けていた。

そのことを考えれば、エリザベス女王の在位数は、2019年時点では、プミポン国王には負けるが、せっかくなので、この在位数を超えて欲しいという気持ちも生まれてくる…。もちろん、タイ人はそう願ってないかもしれないけど…。( ´艸`)

②エリザベスを君主としている国の数

もう一つ日本人が見落としているのは、ここである。「日本の天皇と、イギリスのエリザベス女王ではない。」つまり、エリザベス女王は、イギリスだけでなく、今もなお様々な国の君主であり続けている。けれども、天皇は日本だけの君主(象徴的な)

つまり、カナダや、オーストラリアの紙幣を見ても分かるように、オーストラリアやカナダ、ニュージーランドでは、イギリスの植民から解放された後も、名目的な君主としてエリザベス女王2世のままとなっている。

その国の数は、現在16各国。
簡単にいえば、エリザベス女王こそが英語圏を代表する唯一の君主だからです。

・イギリス
・カナダ
・オーストラリア
・ニュージーランド
ジャマイカ
パプアニューギニア


のようなよく知られている国だけでなく、

バルバドス
バハマ
グレナダ
ソロモン諸島
ツバル
セントルシア
セントビンセント・グレナディーン
ベリーズ
アンティグア・バーブーダ
セントクリストファー・ネイビス

など、世界中で多くの国が今もなおエリザベス女王を君主としているのである。私が驚いたのは、パプアニューギニアである。ここは民族も全然違い、人口も、825万人とそこそこいるにも関わらず、いまだに君主をエリザベスにしている点が非常に興味深い。

彼らはオーストラロイド系なのに、白人が君主ってやはり面白い…。

「黒人には10種類ある?ネグロイドと、オーストラロイドの違いと、世界に散らばる黒人」

また、エリザベス女王は多くの国の君主として、天皇を国の数で上回っているだけでなく、アメリカの大統領も他の国の大統領よりも有名であることからも分かるように、白人国家、しかも英語の本場でもあるイギリスの君主は、ただそれだけで世界中から注目を集める。

なので、世界でもっとも強力な国である米国の大統領と、それに次いで英語圏で力のあるイギリスのエリザベス女王が世界的にみても有名なのは、全く不思議ではない。

一方、日本の天皇は、第125代まで続いていてなお、天皇という称号を持っているのも世界でただ一人であり、ヨーロッパの王室からも尊敬される立場ではあるが、

この125代まで続いたというのも、信ぴょう性に欠ける部分もあり、議論がある部分であることもお忘れずに。

日本人からすれば、125代まで続いているので、キリストよりも古い。と言いたいが、海外では以下のようにも言われていた。

「日本のエンペラー(天皇)や皇室について、キミたちが知らないコト TOP5【海外の反応】」

States headed by Elizabeth II

という部分からもわかるように、一応、称号、そして皇室の長い歴史からみても、権威としては高いけれども、世界の一般の人々にはその権威までは知られていないのが現状。

また、特に、欧米の国の人たちの中では一部のインテリや富裕層などを除いて、よほどのことがない限り、天皇陛下に注目が行くことはない。といっても過言ではないかもしれない。

私はこのような意見だけれども、英語版の quora にもまさに私と同じことを言っている人がいたので、多くの人がそう思っているのだろう。

 

③エリザベス女王1世と、2世の間に、350年間の空白がある理由

ちなみに、エリザベス女王1世(1553年~1603年)と、エリザベス女王2世(1953年~現在)には、なんと、350年もの空白があるというトリビアもある。

まさか、女王が、1世から2世の間に、350年もかかったのか…。というのが面白いところ。( ´艸`)つまり、イギリスでは、女王が350年間も不在だった。

もちろん、国王はいたけどね…。

簡単な歴史を書いていくと、まず、ジョージ6世(1936年~1952年)が、エリザベス女王2世が即位する前の連合王国における君主であった。

つまり、エリザベス女王2世の母は、エリザベス・ボーズ=ライアンといい、ジョージ6世 (1936年12月11日 - 1952年2月6日)の王妃、およびインド皇后であった。

※インドも、戦前まではイギリスの植民地だったので…。

なので、エリザベス女王2世の母は、日本の皇后と同じ、 "EMPRESS" の称号を持っていたということ。

※終戦まで、イギリスは大英帝国だったので、インドの皇帝でもあった。今の国王や、女王とは違い、皇帝だったのである。

また上の Empress は、まさに皇帝の妻を意味している。何度も言うが、日本の皇后の英訳、Empress はイギリスの意味する empress とは違う。

日本の場合は、なぜか、天皇・皇后に対して、Emperor / Empress を使っている。一説によれば、中国には、清の皇帝がいるので、日本の天皇も、対外的に英語訳を Emperor にしたほうがいい。というのが始まりという説もあるが…。

つまり、対外的に中国も日本も対等であるということを印象付けたかったのかもしれない。そんな中国にはすでに皇帝はいないけどね…。


※写真は、エリザベス・ボーズ=ライアンであり、エリザベス女王2世の母、エリザベス女王2世の母は、エリザベス女王1世ではない。この部分だけ理解しておけば、まず良しとしたい…。

 

④なぜエリザベス女王は、日本の天皇よりも世界的に有名なのですか

②でも、海外の意見を織り交ぜながら書いたが、ここではより具体的に、quora の内容を紹介していきたいと思う。

Why is Queen Elizabeth II more famous than the Emperor of Japan?

■ジェームス
単に、世界において日本語話者よりも英語話者のほうが多いので、報道などでもエリザベス女王のほうが親しまれやすいからではないだろうか。米国大統領も何かといつも話題になるのだし。

大英帝国の繁栄、その後の、米国が世界の中心になったことで、つまりアングロサクソンには今もなお強い力を保持しているという証拠にもなると思う。

■ダビデ(カリフォルニア在住)

日本の天皇は、小さな島国を統治しているだけであり、女王ほど海外旅行にもいかない。また、旅行をしてもそれほど英語圏のニュースでは大々的に報道されない。

イギリス連邦は、世界中の国々の約20億人ほどで構成され、これらの国の多くが、エリザベス女王を君主としている。また、これらの国の英語話者は女王が英語で何を話しているのかわかる。が、天皇が日本語を話しても英語話者は理解できない。もう一つは、女王が、在位60年以上の間に、多くの国を回っていることだ。

※上の地図はイギリス連邦加盟国の地図(これらの国のうち、一部の国を除き、イギリスと同様にエリザベス女王を君主としている)

 

⑤日本の天皇と、エリザベス女王はどちらが権力者ですか?

英語圏ではこのような質問も上がっていた。それほど関心の的にはなっていなかったが、ある程度の回答があったので、以下に紹介しよう。

Who has more power - Queen Elizabeth II or Emperor Akihito?

■デイヴィッド(英国在住)
日本の天皇よりも、エリザベス女王2世のほうが権力者だと思う。この両国の君主は、彼らの行動の多くが政府によって(助言に基づいて)指示されているという点で、非常に似ているが、日本の天皇とは違い、エリザベス女王の場合、緊急事態に陥った場合、権力を行使できる権利がある。現在の日本国憲法は、戦後アメリカ人によって作成されたものであり、憲法上、儀式的な役割のみに制限されている。その役割とは、国民統合の象徴である…

また日本の場合、天皇が国会で選ばれた首相を正式に任命するが、女王の場合、首相を選択する。つまり、彼女が最終的に下院の信頼を指揮して政府を形成することができる誰かを選び出すことになる。

また憲法上定められている儀式上の役割以外は、政府から禁じられている。

憲法で定められている儀式上の役割を除き、皇帝は政府から禁じられています。一方で、英国の首相は毎週女王と非公開の会合を開き、そこで女王が「助言、または警告」することができる。 この会議はいわゆるストレスに晒されることの多い首相という職にとって、支援の機会を提供する役割にもなっている。

このように女王には政府に干渉されずに権限があるわけだが、現代ではそれが行使されることはほとんどない。

つまり憲法上で、天皇の役割が制限されている限り、天皇よりも、女王のほうが、権力があるということになる。

 

⑥エリザベス女王は、イスラム教の預言者ムハンマドの子孫?

おそらく、この記事の中で、この内容が一番英語圏で関心を集めているものだと思う。それは、以下の Quora の記事が、他の記事よりもPV数が多いことからも分かるように、


How is Queen Elizabeth a descendant from the Prophet Mohammed?

イスラム教徒や、それに反対する立場のキリスト教徒などの間で関心を集めているのだろう。

というのも、イスラム教徒にとっては、英連邦王国(2015年時点で、計16ケ国)の君主であり、キリスト教者(イングランド国教会)でもあるエリザベスが、実は、ムハンマドの子孫だったとなれば、エリザベス女王の面子が立たないからである…。

で、どのようにエリザベス女王がムハンマドの子孫になり得るのかというと、エリザベス女王は8~15世紀にかけてスペインを支配したイスラム王朝の血統に繋がるというもの。

具体的に言うと、現在のアンダルシア地方には、イスラム王朝があったが、その中心都市セビリアでアッバード朝を開いたアッバード1世が、エリザベス女王と繋がっており、それをバーク貴族名鑑が示している。(アッバード1世は、ムハンマドの子孫と言われているため)

この家系図(バーク貴族名鑑)は1980年代後半にも浮上したことがあり、バーク貴族名鑑の発行元は、英王室研究の権威と言われているハロルド・ブルックスベーカーで、1986年に当時のマーガレット・サッチャー首相に対し、

大多数のイギリス人には知られていないが、ムハンマドの血がエリザベス女王の体に流れており、イスラム教の宗教指導者は、この事実を誇りに感じている

と書いている。

とはいっても、イギリスの歴史家はこれらが事実である可能性は高いものの、確実な証拠とはならない。というスタンスで今に至っている。

またついでに言っておくが、ムハンマドの子孫と言われているアラブ諸国の王室は二つあり、一つがモロッコ、そしてもう一つがヨルダンである。つまり、現在のモロッコ国王とヨルダンの国王は、ムハンマドの子孫と言われている。

「アラブ(中東・北アフリカ)に存在する8つの王室と、マリク(国王)、アミール(首長)、大統領、スルタンの違い」

参考記事
エリザベス女王は、イスラム教の預言者ムハンマドの子孫?

 

マルチンのコメント

海外では日本人よりも冷静に、天皇と女王の違いを説明している人もいるのに衝撃を受けた。また、単に皇室が最古とか、称号的な意味で、天皇が上!としか主張しない頭空っぽの一部の日本人とは違い、英語圏の中にも、両方の立場を理解しながら語れる人が少なからずいたことに驚いている。

やはり、女王のほうが巻き込んでいる国が多いことや、女王と天皇の権限をみても、女王のほうが権力がある。と世界中の人たちは感じるだろう。

けれども忘れてはならないのは、権力云々は置いといて、エリザベス女王にはアンチが多いのに対して、天皇にはアンチがほとんどいないことである。

海外の反応を翻訳していても分かるのだけど、英語圏でも天皇のことを批判する人は全然いなく、いたとしても、戦争犯罪などと、

「日本の天皇は戦争犯罪者!とイギリス人が抗議。オランダでは日の丸を燃やされ、卵を投げつけられた理由【海外の反応】」

まだ戦争の話をしている人たちである。

多くの人は天皇が、国民に跪いたり、日本国民から慕われている現実を知っているので、そういうヨーロッパ的な王室にはない性格の、平成流の皇室のあり方に尊敬を示していると私は思う。

けれども、皇太子殿下も即位前の会見でおっしゃっているが、時代によって皇室のやり方も変わるので、この平成流の皇室が、ずっと続くとも限らないのだよね…。

いずれにしても、日本人としては、やはり皇室がもっと世界で注目を浴びてほしいとも思うが、その分アンチも増えると思うので、今のまま目立たない感じでやっていってほしいと思う…。

こんな記事も読まれています
「あなたは、韓国系?東南アジア系?祖先(ハプログループ)を知るための遺伝子検査「ジーンライフ」製品の詳細を調べてみた」

-王室・皇室・国際政治

© 2024 MULTILINGIRL♫ Powered by AFFINGER5