アラビア語(セム系言語)

イスラム教、伝統衣装の見分け方 (ブルキニ、ヒジャブ、チャードル、ブルカ、アバヤ、ニカブ)

2019年6月28日

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イスラム教、伝統衣装の見分け方 (ブルキニ、ヒジャブ、チャードル、ブルカ、アバヤ、ニカブ)

2019年6月28日


アラブ諸国(北アフリカ・中東)や、イスラム教国家(アラブ諸国+世界のイスラム教を信ずる国)に関心のある日本人は多いとは言えないが、ムスリムの移民が多いヨーロッパなどでは、イスラム教の衣装の見分け方などは、結構話題になったりする。

というのも、衣装の特徴が分かれば、どこの国なのか。おおよそ推測する材料ともなるからだ。

特に日本人があまり訪れない、中央アジア、南アジア、中東、北アフリカなどに旅に行く人や、これらのエリアの言語を学んで、関わりを持ちたいという人には、こういう衣装の見分け方はためになるだろう。

また見分け方を解決することで、より親近感を持つようになり、それらのエリアの知識吸収の起爆剤となってほしいと思ってこの記事を書いている。

そんな私も、中央アジア→コーカサス地方→インド→北アフリカ→近東(イスラエル周辺)などに回っていきたいと思っているので、実際に彼らの服装で、ある程度見分けて話がはずめるようにしていきたい。('ω')ノ

ところでイスラム教についてあまり知らない人や、誤解を抱いている人は以下の記事もためになるかも。

「ヒジャブ、ジハード。割礼。斬首。クルアーン(コーラン)に対して誤解していること TOP6【海外の反応】」

 

①まず初めに

人の観察力って、案外いい加減だということがわかる。日本人がヨーロッパでいくつかのグループのイスラム教の衣装を見たり、何も考えず旅行でこういう人を見かけたとしても、多くの人は、イスラム教女性=スカーフみたいなのを頭にまとっている。くらいにしか思わないだろう。

とはいっても、人によっては、いくつもの違いに疑問を持ち、調べる人もいる。私は前者の方で、今までこんなにバリエーションがあるとは思っていなかった。

イスラム教の女性=皆肌や頭を露出しない。それだけ。と思っていたからだ…。この記事では、その細かい部分に触れ、比較することで、すべての疑問を解消していきたいと思う。

 

②ブルキニ

ブルキニ

2019年6月時点でも、ブルキニと検索してニュースをみると、「「ブルキニ」騒動で公営プール2か所閉鎖、熱波にもかかわらず フランス」というタイトルの記事が出てくる。

詳しくは下にも書いていくけれども、2011年、フランスでは顔全体を覆う服は禁止された。にもかかわらず、一部のイスラム教の女性が抗議のために、フランスのプールにブルキニ姿でやってきた。しかも、このブルキニは顔全体を覆うバージョンで、普通のブルキニ(顔は覆わないものもある)とは違い、明らかにフランス人に対する嫌がらせ(抗議の意味も含む)にも見える。ということもあってか、左の白人たちは物凄い顔で威嚇している模様。

確かに、顔を見せないと、テロロストにも見えてしまうし、フランス人も戸惑っているのだろう。

けれども、ブルキニを着てる方からすれば、何この白人の女、だらしない身体見せちゃってとか、女なのに肌露出しちゃってんの。とか思っている可能性もあり…。

とはいっても、ブルキニはある意味で画期的とも言える。なぜなら日焼けしにくいからだ。ブルキニなんかは、形や名前を変えて特に韓国や、日本では流行りだすのではないだろうか。

特に韓国人は男女問わず、長いシャツを着ながら海に入るものも多いからね…。

また、ブルキニも含め、2011年、フランスでは、フランスでいくつかの衣装(顔をすべて覆うベール)が禁止されたことは、以下の他の部分で詳しく述べる。

③ヒジャブ

ヒジャブ(ヘジャブと読む人もいる)とは、ヘッドスカーフのことであり、髪と耳、首を覆い、顔は見える。

エジプトのムスリム同胞団を筆頭にイスラム世界で広く使用されている。(特にマレーシアやインドネシアにも多い)

上の女性は、以下の記事でも紹介したことのある、マレーシアで有名なインスタグラマー。

「中華系?マレー系?インド系!?どういうこと!?マレーシア人の美女 TOP10」

マレーシアは多民族国家であり中華系が25%以上もいる国で、しかも年中暑いので、中華系の女性は真っ白な脚を出すスタイルを好むのとは対極にあるかのように、マレー系の女性は肌は露出しない。またヒジャブを被っている。

マレーシアではヒジャブは義務であり、インドネシアではヒジャブは義務ではない。という違いもある。

つまり、服のことではなく、頭にかぶるもの=ヒジャブ。だだそれだけ。

 

④チャードル

チャードル(Chador)は、顔は見せるけど、それ以外は見せないようにする服。上の写真では全身黒だが、全身黒とは限らない。花柄模様のチャードルを着ている人も沢山いて、私がなぜ上の写真を選んだのかというと、以下いくつかの写真と比較するためである。

この服は、イランやアフガニスタンなどのペルシア圏で着用される伝統衣装。髪と全身を覆うマントで、顔は出すようにする。着用は強制されていないため、イラン人やアフガニスタン人が皆、着用しているわけではなく、ヒジャブで髪を覆う人も多い。

 

⑤ブルカ

ブルカは、目の部分も全部覆い隠す。目の部分は網状になっているので、外を見ることはできるが…。

これが、まさに2011年フランスで禁止になったものだ。

サルコジ大統領は2009年以降、「フランスではブルカを受けいれない」と主張。2010年に政府法案を提出。禁止法案は、学校、一般道路など公共の場でのブルカ着用を全面的に禁止している。

一方で、フランス在住のイスラム教徒を中心に、強く批判されたが、2011年4月11日、法が施行された。

また、ベルギーでもブルカとニカブを禁止し、着用する者は罰金または最長7日間の禁錮刑が科される模様。この流れはヨーロッパ全体に広がっている。

また上にも書いたが、フランスではブルカを巡って、一部の人たちが対立している。それは、現在パリがイスラム教徒の都市になっている状態からも、この状況がどれほど深刻なのか、くみ取ることができるかもしれない。( ゚Д゚)..

「白人はどこに?「パリはどこの国の首都ですか?」と世界で話題に【海外の反応】」

ちなみにブルカは、アフガニスタンのパシュトゥン人が着用。頭と体を覆い、目元は網状になっている。旧支配勢力タリバンが着用を強制。

⑥アバヤ

この中で一番誤解されているのがアバヤだ。アバヤというのは、アラビア語で、cloak(クローク→袖のない外套)を意味し、マントに似たようなもの。

これは主に、サウジアラビアや、湾岸諸国(お金持ち国家)などで着られているもの。

「日本よりも湾岸諸国のお金持ち国家(クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン)のGDP、物価、言語の比較 TOP10」

とはいっても、上の写真はオシャレで、モダンなアバヤのもの。つまり、多くの人たちが見ているアバヤって以下のもの。

これって、後でも説明するのだけど、あくまでも、彼女たちが来ている服だけが、アバヤ。上に被っているのは、ニカブという目以外を覆うもの。

 

⑦ニカブ

これまで、ヒジャブ、チャードル、ブルカ、アバヤ、ブルキニ(水着)などを紹介してきた。で、最後にニカブというは、口や鼻を含めて全身を覆うベール。

特に全身を覆うものとされているが、ヒジャブ(顔は見せるスカーフ)に対して、目元しか見せないヒジャブ=ニカブと考えたほうが分かりやすい。

なぜなら、ニカブとはアラビア語で、顔を覆うスカーフという意味だからだ。

上の写真の右から二番目。分かるかな。上のニカブの写真は目以外なので、手まで黒い布で覆っているのに対して、先ほど紹介したアバヤを着ながら、目だけ見せている女性は、手は隠していないよね??

ちなみにニカブは、ワッハーブ派の影響で都市部を中心に普及。

この記事で一番紛らわしいのは、ニカブ(目以外全身を覆う服)と、アバヤ+目を隠しているが、手は見せている。が、混同されることかもしれない。

ちなみに、中東の気候や、イスラム教に詳しくない人にとっては、ニカブを着た女性は、顔が特定できないため、怖い人、テロリストというイメージに繋がってしまうかもしれないが、これを着ることで、身体のラインを隠したり、男性に対して誘ったりすることができなくなる効果もある。

で、何度も言うが、アバヤは、ニカブと比較される。そもそもアバヤはドレスのことである。アバヤを着ながら、目以外を隠すスカーフや、ヒジャブ(顔は見せる)を組み合わせることが多い。

なので、アバヤは洋服の部分だけのみ。女性らしいボディラインを隠すための服というふうに理解しよう。

そしてニカブは、目だけしか見せない頭のスカーフ、しかも手も、全て隠すと覚えておけば良いかもしれない。

 

⑧イラン人の場合はちょっと違う

この写真は結構話題になるのだけど、イランでも女性はヒジャブを被らなければならない。けれども、イランは以下のような時代を経てきたため、ヨーロッパ化している部分が非常に目立つ。

なので、女性も、「ちょっと頭にヒジャブかければ、あんた文句言えないよね!?」という反抗的な態度があるため、右のような若者も多い。

以下に詳しく書いた。

「エンペラーは日本だけではなかった。イランに「皇帝」が存在していた理由と、廃止されてしまった理由」


以下よりおまけとして、イスラム圏で着られている帽子、衣装など、男性も含めたものの違いも書いていく。

 

⑨ガラビア

ガラビアは、ガラベーヤと書く日本人も多い。エジプトで男女ともに着用する民族衣装である。木綿、麻、モスリンなどで作る緩やかなワンピースのこと。

色彩は白 - 茶、黒 - 青の地味な色彩で無地かイギリスで「エジプトの縞」と呼ばれた太目の縞模様が多いとされる。アラブ民族のタウブと呼ばれるゆったりしたワンピースが原型であるとされる。

 

⑩トーブ(カンドゥーラ)

トーブというのは記事の名称なのだが、カンドゥーラというと、上の写真で、羽織っているものになる。パンツなどは違う。サウジアラビアを中心にアラビア半島の国々の男性が来ているもの。

なんとこのトーブ、中東諸国で消費されているトーブは、日本製が約40%から45%を占めるという。

What are the differences between a niqab, a chador, an abaya, a burkha and a hijab?

 

⑪ルンギー

イザ―ルというルンギーに非常に似たものもアラブ諸国で着用されている。

 

⑫ターバン

ターバンと言えばなぜかインド人というイメージがあり、若い日本人でもターバンくらいは知っている場合が多い。けれどもヒンドゥー教徒が大多数を占めるインド人というよりは、インドにいるシク教徒も日常的に用いているものであり、インド人=ターバンというのは誤解であるということは覚えておきたい。

またシク教徒は生えてくるものを切らないという教えから髪の毛や髭を一生伸ばし続ける人もいる。なので、ターバンをかぶっている人は、ロン毛である場合が多い。

上の写真は、以下の記事にも載せたが、

「チベットや、スウェーデンも。日本は?男のロン毛の多い国(受けいられている国)TOP8」

いつもターバンをかぶっているシク教徒がロン毛を披露している写真である。

Reference
https://www.afpbb.com/articles/-/2721121

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