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イギリスで将来、重要になる外国語 TOP10(ブリティッシュ・カウンシル発表)

2015年9月29日

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イギリスで将来、重要になる外国語 TOP10(ブリティッシュ・カウンシル発表)

2015年9月29日


近年世界情勢の変化はめまぐるしい。1990年代前後のような、日米が世界のGDPの大部分を握っていた時代とは変わり、中国が日本のGDPを超え、以前なら、アジア=日本だったのが、アジア=中国になってしまっている現在、世界で求められる言語も変わってきている。

「日本、中国、韓国を比較。2016年→2030年→2050年のGDP(国内総生産)ランキング TOP20」

日本で人気な外国語は以前以下の記事でも語ったのだけど、

「受験者数を比較。英語、フランス語、中国語、韓国語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、アラビア語」

この記事では、日本で必要とされている言語と、ある意味英語圏の中心地でもあるイギリスで将来必要とされている言語の違いを意識しながら、ブリティッシュ・カウンシルで発表された「イギリスで将来、重要になる外国語 TOP10」を紹介していきたいと思う。

そんな私は、2015年から2017年まで医薬系の社内翻訳をし、現在はブログ、英語のメンター、外国語のコーチなどをしながら、海外を転々としている。

そんな私がこの記事をはじめて書いたのは、2015年9月だった。このランキングも、当時のイギリスの状況を反映しているわけだけれども、その後にEU離脱が決まったり、色々変わっているものの、本質的には世界中で求められている言語に近いランキングになっているのではないかと思う。

で、アメリカ人も注目する英語の本場、英国人はどの外国語を学んでいるのかな?

おそらく、フランス語・ドイツ語・スペイン語が最も多く学ばれているのだと思うのだけど、その中でも、ドイツは欧州経済の中心であり、同時にドイツ語は欧州で一番話者が多い言語なので、ドイツ語や海峡を渡ったところにあるフランス語はとても重要と言える。

おそらくロンドン人の感覚からしたら、パリに遊びに行くことは、東京人がソウルに遊びに行くような感覚よりも、大阪に行くような感覚だろう。

というように、実際イギリスで学ばれている外国語はフランス語だったりヨーロッパの言語が多いと思う。けれども、実際に学ばれている言語と将来、重要になる言語は、それはそれでまた違うのだ。

で、いよいよ本題に入ろう。

イギリス・オーストラリア・カナダなどの大学に入学する際に必要な、IELTSという試験。そこを運営しているブリティッシュ・カウンシルは、今年2015年、今後の将来、イギリスにとってもっとも重要になる外国語のランキングを発表しました。

以下のサイトより、抜粋。
①現在の英国の貿易
②英国のビジネスに必要な言語
➂英国政府の優先貿易
④台頭している高成長の市場
⑤外交・防衛の優先
⑥公衆が関心のある外国語
⑦英国人がよく行く目的地
⑧英国政府の国際教育戦略の優先
⑨その国での英語のレベルが高いか
⑩インターネット上で蔓延している違う言語
これらを考慮してでたランキングだ。

1位 スペイン語

スペイン語は日本人にとってはあまり必要とされていない言語ではあるが、西洋ではかなり重要視されている言語だ。日本人が中国や東南アジアに企業を移転させるとすれば、西洋人は人件費の安いスペイン語圏で、日本人が東南アジアでしていることをやっている。
つまりスペイン語は、モノづくりの拠点として西洋人が求める場所であり、その後、これらの国の経済発展がした際には、市場として需要のある場所となる。
スペイン語とフランス語は、様々な国を巻き込んだ国際言語ということもあって、その重要性はよく比較されるのだけれども、その違いは、フランス語が公用語のアフリカの国には、他の公用語もあるのに対して、中南米のスペイン語圏の国々の公用語はスペイン語のみであることが多い。つまり、スペイン語のみが話せる人のほうが、フランス語よりも多いと言えるだろう。
またアメリカという超大国のヒスパニック系人口は増えており、現在でも、約3000万人以上のスペイン語話者がアメリカにいる。
スペイン、北米・南米を合わせると、なんと4億以上もいる言語ということからもお分かりの通り、西洋では非常に重要な外国語となっている。
その範囲は、かなり広く、多くの国、多くの大都市を巻き込んだ実質的に本物の国際言語であることがわかる。
更に、現在日本でKPOPが流行っている以上の勢いで、アメリカの若者では、ヒスパニック系のアメリカ人が歌うスペイン語の曲がクールな対象となっており、従来アメリカ人が貧しい国の言語としてみていたスペイン語の印象が変わりつつある。
無論、西洋とスペイン語圏の貿易の拡大とともに、スペイン語の重要性はますます高まっていくだろう。
以下、西洋の国々でスペイン語がどれだけ重要視されているのかがわかるので、参考にしてほしい。
けれども、これは西洋の話であって、日本人がスペイン語を学ぶ必要があるのか?と言われれば、やはりそれは個人の進みたい道によるだろう。
少なくても日本人が好きな、ロサンゼルス、ニューヨークでも、スペイン語は話されており、ロサンゼルスに関しては都市圏人口1284万人のうち、およそ36%の441万人がスペイン語話者で、ニューヨークに関しては都市圏人口1891万人のうち、19%の350万人がスペイン語話者と言われている。

2位 アラビア語

 
(なんだかこの二人、インテリ!?国際的な雰囲気が漂いますね・・・)

この記事は、そもそも私がアラビア語の勉強を始めたときの動機作りとして書いたのがきっかけだった。で、もちろん私がこの中で日本人に勧めたい言語なのは、アラビア語である。

日本人からすると、アラビア語と言うと、遠い国のよくわからない宗教の言葉?インドで使用されている言葉?アフリカ?トルコ?イスラエル!?とか、おそらくよくわからない方がほとんどだと思う。またクニャクニャ文字で不思議、テロリストの言語?と思っている人も多いかもしれない。

けれども、アラビア語は国連の6公用語のうちの1つでもあり、とても重要な言語と言われている。まさに、日本人が中国や朝鮮半島などのニュースをよく見るのと同じで、欧米人はアラビア語圏である中東にとても、関心がある。

特にヨーロッパはアラビア語圏の移民が多いのに対してアメリカには、アラビア語圏の人たちが少なく、アラビア語人材が不足していると言われている。

そのため、アメリカではアラビア語ができるだけで政府機関で働けるチャンスが得られる。とか、エリートになれるチャンス。というふうに言われることもある。

実際、日本でも、東京都知事になった小池百合子さんは、アラビア語の通訳から政治の道に入った。

「小池百合子先生の英語とアラビア語の実力を検証」

しかしながら、日本ではアラビア語圏に対する関心が高いとは言えない。その証拠に、日本にあるアラビア語の検定試験は、1年に一回だけであり、開催されない年もあるとのこと…。なので、日本ではアラビア語は非常に人気がない言語と言える。

日本で人気のある外国語と言えば、本屋さんなどの参考書の数を見る限り、私はこのような順位になるのではないかと思っている。

①英語
②中国語
➂韓国語
④フランス語・ドイツ語
スペイン語・イタリア語・ロシア語

おおざっぱに言えばこんな感じだろう。この記事の上にリンクした受験者数から、およそ推測できる。

で、このランキングはイギリスで発表されたものであるわけだけれど、実際にイギリスでも、「なぜイギリス人の将来にとってアラビア語が重要なの?」という疑問のコメントなどがあり、当のイギリス人がそれを理解していない。

アラビア語が今後、今以上に重要な言語になると言われている理由は、2050年までに、世界の宗教人口の割合、つまり現在キリスト教が優勢なのだけれど、これがイスラム教に取って代わると言われている点だ。

その理由にインドネシアや、南アジアなどのインド、バングラデシュ、パキスタンというアラビア語圏ではない国々の人口増加が要因と言われている。
これらの国はアラビア語圏ではないにしても、イスラム教では、聖典であるクルアーンがアラビア語で書かれているので、それに実際毎日触れている人たちがいること。
またアフリカのイスラム教圏の出生率が高まっているので、世界全体でイスラム教人口が増えるということ。
それに加え、湾岸諸国などのお金持ち国家が、ヨーロッパなどに投資をしたり、イギリスで不動産を購入したりなど、影響力を強めているという背景もありそう。
現在、伝統的にアラブ圏の中心地はエジプトのカイロであるけれども、ドバイでなじみ深いアラブ首長国連邦や、カタールなどがたくさんのお金を投資して、欧米の教育機関などを誘致したり、ペルシャ湾にアラブ世界の中心にしようとしている。
という意味からも、アラビア語を今のうちに勉強しておくことは、ある種の投資になるとも言えるだろう。

 

3位 フランス語

本来、イギリスで一番必要とされている外国語はフランス語であった。けれども3位まで落ちたその理由は、フランス語の影響力が落ちたというよりは、それ以外の言語がイギリスにとって有益になる。という現象が起きているのだと思う。
フランス語は現在でも世界中で英語に次いで学ばれている言語ということや、驚くほどの国際機関が置かれており、フランス語ができることは、国際的に活躍したい人にとっては、重要ともいわれている。
イギリスの君主、エリザベス女王でさえフランスでは、フランス語でスピーチするという、そういう言語なのである。
日本人がイメージする、フランス語=パリの華やかなセレブとは違い、イギリス人はフランス語=アフリカの言語というふうに見ている。
実際に、2050年には約6億人のアフリカ人がフランス語を話しているとも言われており、西洋の第二外国語選択では、スペイン語にしようか、フランス語にしようか迷う人が後を絶えない。
もちろんフランス語もお勧めだが、上でも紹介したアラビア語は、競争率も高くないので、ねらい目とも言えそう。

4位 中国語

中国語というのは、むしろ日本人にとって重要な言語と言える。日本でも中国語の重要性は叫ばれているが実際には、求められているほど中国語を操れる日本人はいない。
日本には日本語と中国語を操れる中国人がいるから、日本人は中国語を話せなくてもいい。というのは、会社に入るという意味だけで考えた場合だ。
これからは自らをブランディング化していく時代で、一人一人の個性を生かして中国語を操ることで広がる可能性、そして余地は十分にある。
私の友達の秋山燿平さんのように、多言語を駆使して、台湾や香港を中心に中国大陸に自分の名前を広げることも可能。
けれどもほとんどの場合、会社にお世話になるために中国語を学ぶ的な思考しかないので、彼を十分に見習うべきだろう。
またイギリス人が中国語や日本語を話せた場合、やはり知的に見えるし、西洋の世界では東アジアの言語を学んだものは、結構尊敬される。(西洋語から難易度が一番高い部類の言語なので)
イギリス人にとって中国語まで手を伸ばすということは、日本人がスペイン語に手を伸ばすことに少しだけ感覚は似てるかもしれない。
けれどもやはり日本人こそ、中国の攻撃的な行動に防御的になるのではなく、こちらから攻めていくつもりで、市場を開拓する気概が必要かもしれない。

5位 ドイツ語

ドイツ語の重要性は、特に欧州で根強い。主要国では、経済はドイツ一人勝ちの欧州。やはり南欧、東欧からドイツ語を学んでドイツで働きたいヨーロッパ人は多い。
またドイツは世界中に知られた大企業をいくつも持つので、ドイツ語を話せれば、そういう雇用のチャンスに結び付く可能性もある。
特にドイツ語が話せる国は、ほとんどが日本よりも一人当たりのGDPが高い国で、ドイツ、オーストリア、スイス東部、リヒテンシュタイン、ポーランド西部の一部地域、デンマーク南部など、非常に一人当たりの単価が高い言語であるというのが私の見方。
例えば、ドイツ語でユーチューブを作ったり、情報発信でブログを書いたりするだけで、それが当たれば、一人当たりの広告単価が高いので、やはりそれだけ広告料も高くなるということである。
またドイツにはまだ日本製品(伝統的なもの)が入り込める余地があるので、商機を期待してドイツ語を学ぶのもいいかもしれない。
ドイツやイタリアは、高くても伝統的で機能性のある日本の伝統的な技術を欲しているという情報もあるので…。

6位 ポルトガル語

ポルトガル語は、オリンピック開催国にもなったブラジルの言語。2億人以上の市場がある。スペイン語に似ていると言われているけれど、多くの人がスペイン語を勉強しているときに、このポルトガル語で差別化を図るのも一つの手である。
単語や文法は似ていても、発音というか、リズム感が全く違うのがポルトガル語の特徴。ポルトガル語はスペイン語と違い、英語のように、ストレスタイミングで話す言語なので。
またブラジルは南米最大の人口を持つ国であり、危険な国ではあるが、国土が広く、民族も多く、大変面白い国。
好奇心旺盛でブラジルと今後付き合っていきたい人は勉強するべき。
ドイツ語同様、ウェブ上でお金を稼ぐ方法、たとえばユーチューブやブログなどをポルトガル語で作り、ブラジル人にみてもらうことで、広告系のビジネスにもつながる可能性がある大変希少価値の高い言語だと個人的には思っている。

7位 イタリア語

正直、あまり重要な点は思いつかなかった。けれども、イタリア語は、アメリカでも意外に結構学ばれている。この言語を学ぶメリットと言えば、やはりイタリアのような国に自分の故郷を持った気分でいられることだろう。
またスペイン語と似ているとよく言われるこの言語は、やはり音楽など聴いていても、イタリア語のほうが上品で、美しいとさえも思えてくる。
イタリアをこよなく愛する人向けの言語と言えるだろう。
 

 

8位 ロシア語

え、意外。なんでロシア語の重要性って低いのかな?と思った人も多いかもしれない。そもそも、アラビア語と同様、ロシア語ってなぜか日本で全然人気がない。ソ連が崩壊する前までは、もうちょっと盛り上がってたのにね…。
日本でもそうだけど、ロシア語っていいレベルまでいけば、かなりレアなアルバイト(時給2000円)とか見つかるのに。と思ってしまう。下手な話、ロシア語だけ勉強していれば、何かしら希少人材になれる可能性もある。
そういう部分をうまく使いつつも、英語力も伸ばしていくと更に強みになる言語と言えるだろう。
またロシア語は、ロシアだけでなくいまだに中央アジアの多くの国で日常会話として使われているのも、知っておくべきかもしれない。

8位 トルコ語

どうやら、8位が二つあるようだ。そのうちの一つがトルコ語。欧州と中東に挟まれた人口7000万人を有する国家で、中東で本当に国家と言える国は、エジプト、イラン、トルコとも言われているとおり、とても重要な国である。
トルコ語は注目度が低く、イタリア語同様に、自分の拠点を作りたい人には向いているかも。私は、みんなと違うもんだモーンって言いたい系の人には向いている言語と言える。
まるで私がアラビア語を学んでいるようにね…。( ´艸`)
イスラム圏に興味があるけど、アラビア語みたいな難しい文字は苦手という人は、この言語がから入ってもいいかもしれない。というのも、現在のトルコ語には、多くのアラビア語単語が入っているからである。

10位 日本語

 
(田舎暮らしが多い欧州人が思い浮かべる東京のイメージ)
英語話者にとって難関言語と言われている日本語・中国語・朝鮮語・アラビア語。その中でも、英語話者にとって、中国語の会話は簡単だそうだ。(ピンインで覚えた場合)なぜなら、文法がそんなにがっちりしている言語ではなく、1つ1つの読み方をきちんと発音して話せばいいだけだから。
それに中国語を操る私だから言えることなのだけれども、現代中国語の日常会話は、色々な地域を統合してまとめられたもののため、簡潔な表現で意思疎通ができる。
けれども正しい声調で話すことは必須。一番西洋人にとって厄介なのは、中国語がアラビア文字よりも難しい漢字だけで構成されていることだろう。
なので、ひらがなも多い日本語に比べると、ライティングで言えば、中国語は英語話者にとって世界で一番難しくなるかもしれない。日本語の場合は、ひらがなだけを使って書いたり、話したりすることもできるので。
でも、多くの英語話者は日本語は発音がとても簡単で、日常会話程度なら、超簡単な言語だけれども、ひらがな・カタカナ・漢字、そして尊敬語・謙譲語・丁寧語の独特な言い回しなどを含めると(実際に日本社会ではそういうものでビジネスのやりとりがされているので)、実践的な日本語を習得するのは結構難しいようです。

 


ちなみに、

アラビア語は、難しそうに見えるものの、28文字しかなく、母音は基本的に3つだけ。現代アラビア語のフスハー(標準アラビア語)は、欧米の文法などもまねて、改善されていてる部分もあるので、欧米人にとっては東アジアの3カ国語よりも難しくないとインターネットで答えている人が大多数だった。
私が思うに、イギリス人が日本語を勉強すること。それは日本人がアラビア語を勉強するということに少し似ているかもしれない。
そして、これを見て思ったのは、日本では英語だけ勉強しようと思っている方が多いという事。実際英語をきちんと身に着けないまま、他の外国語を勉強しても、そのほかの外国語がかなり高レベルではない限り、仕事がみつからないという事情もあると思うけれど…。
けれども、これってイギリス人やアメリカ人、ヨーロッパ系の人たちが日本語をきちんと高レベルに達するということとあまり変わらない。
英語を中途半端なままで終わらせずに、まず自分の納得のいくところに達したら次の言語に手を伸ばしていけばいいのではないだろうか。
いずれにしても自分の好きな言語を、楽しんでずっと続けていけば、必ず色々な発見、出会い、喜びに繋がるはずである。

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